研究課題/領域番号 |
23K05041
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38030:応用生物化学関連
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
中島 将博 東京理科大学, 創域理工学部生命生物科学科, 准教授 (60580727)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | β-1,2-グルカン / 糖質加水分解酵素 / β-1,2-グルコオリゴ糖 |
研究開始時の研究の概要 |
糖鎖の合成や分解を行う酵素群のうち、特に糖質加水分解酵素(GH酵素)群は最も機能、構造の多様性に富む。申請者は、β-1,2-グルカンというユニークな糖鎖に作用するエンド型のGH酵素であるβ-1,2-グルカナーゼ(SGL)を世界で初めて同定し、β-1,2-グルカンに作用する酵素群という未知領域開拓の足掛かりを得た。さらに、これらのSGLが新規な複数の機能未知グループと共に一つの大きなスーパーファミリーを形成することを見出した。本研究では、これらの機能未知グループの機能解析と立体構造解析を行い、これがGH酵素群の新規な領域であることを明らかにする。
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研究実績の概要 |
β-1,2-グルカンはグルコースポリマーであり、大腸菌や根粒菌などのペリプラズム糖鎖、分泌多糖として浸透圧調節や共生因子などの生理的役割を有していることが報告されている。このような生理的役割の重要性を考慮するとβ-1,2-グルカンの合成、分解に関わる酵素群は多数存在すると推測される。しかし、セルロースなどのグルコースポリマーの場合と比べて分解酵素群の知見は非常に乏しい。 β-1,2-グルカンをエンド型で加水分解するβ-1,2-グルカナーゼはこれまでに研究代表者が遺伝子同定し、この遺伝子がコードする酵素のホモログ群が糖質加水分解酵素(GH)の新規な酵素群としてGH144ファミリーが創設されている。このファミリーのアミノ酸配列の相同性検索をPSI-BLASTによって行い、ファミリーに属さない遠縁のグループを探索したところ、複数の機能未知のホモログ群が見出された。 そこで、これらのホモログ群からいくつかの遺伝子を解析のターゲットとして選定し、これらの遺伝子のC末端またはN末端にHis-tagを付加した形になるようクローニングを行い、大腸菌を宿主とした発現系を構築し、大量発現が可能な培養条件を確立した。さらに、これらのホモログをニッケルアフィニティーカラムによって精製できることを確認した。これらの精製酵素を用いてβ-1,2-グルカンに対する活性を調べたところ、そのすべてで分解活性を見出した。さらに、薄層クロマトグラフィーでの解析では、β-1,2-グルカン以外の多糖に対して活性を示さないことを見出している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
GH144ファミリーの遠縁のグループは複数見出されているが、ターゲットとしているすべてのグループの発現に成功し、それらがβ-1,2-グルカナーゼ活性を有することを発見し、十分な機能構造解析が行える状況となっている。したがって、概ね順調に研究が進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後はこれらの新規に見出されたグループのホモログについて、kinetics、基質特異性などの詳細な解析を行う。X線結晶構造解析においてはこれらの酵素の結晶化条件の検討とデータの取得を行い、さらに、触媒残基を推定の上、その残基の変異体を作成し、その変異体と基質との複合体構造の取得を試みる。
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