研究課題/領域番号 |
23K05048
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38040:生物有機化学関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
坂元 君年 弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (50361465)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | ユビキノン生合成 / 水酸化酵素 / 脱炭酸酵素 / 水酸化ー脱炭酸酵素 / 水酸化-脱炭酸反応 |
研究開始時の研究の概要 |
ユビキノンは、多段階反応でそれぞれの生物内で生合成される。その中で起こる、三段階の水酸化反応を担う酵素は生物種ごとの多様化が顕著である。申請者は未同定の水酸化酵素を探索する過程で、水酸化をきっかけに脱炭酸を行う水酸化-脱炭酸酵素を二種類発見した。これら、反応機構が異なる二つの酵素、それぞれについて様々な変異体を作製し、ベンゼン環からの脱炭酸反応に有益な、水酸化-脱炭酸反応を有利にする基質認識の特徴を明らかにする。さらに申請者独自のスクリーニング系により真核生物の水酸化-脱炭酸酵素候補の機能を検証し、長年の疑問であったユビキノン生合成の全貌を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究では水酸化-脱炭酸反応に関与するユビキノン生合成酵素の触媒反応に関与するアミノ酸残基の同定、および、その役割の解明を進めつつ、ユビキノン生合成経路の未解明部分を明らかにすることを目指している。 (1)UbiU-decの脱炭酸反応に関与するアミノ酸残基の機能については、本酵素に特徴的なグリシンが脱炭酸反応に必須であることが明らかになり、脱炭酸能を持たないUbiUと同じくシステインに置換すると水酸化能のみを維持することが分かった。一方で、脱炭酸能を持たないR. capsulatusのUbiUに対して、対応するシステインのグリシンへの置換では脱炭酸能は獲得されないことが分かった。(2)サリチル酸水酸化酵素において脱炭酸に必須であることが示唆されているヒスチジンに対応するUbiNのヒスチジンをアラニンに置換したところ、脱炭酸-水酸化能が損なわれることはなく、UbiNの触媒能には必須とは言えないことが分かった。結果として、脱炭酸へ強く関与する他のアミノ酸の探索が必要になった。(3)Coq4を大腸菌のubiD、ubiH二重欠損株に導入したところ、好気条件下でのみ、ユビキノン生合成を相補することを明らかにした。つまり、UbiN同様に水酸化-脱炭酸酵素であると判断できる結果が得られた。しかしながら、同様の結果が他の研究グループから報告された。さらに別のグループからはCoq4は脱炭酸のみを触媒すると考えられるデータが報告された。そこで、これらの矛盾を解消するために、細胞抽出液や精製酵素を用いる機能解析に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に計画していたUbiU-decのアミノ酸変異株、UbiNのアミノ酸変異株の作成と評価について、予定通り完了した。さらに、Coq4が水酸化-脱炭酸酵素として大腸菌で機能できると考えられる結果も得られた。計画通りであるものの、UbiN、Coq4の双方で、当初の計画よりも発展的な検証が必要になった。
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今後の研究の推進方策 |
細胞抽出液を用いたCoq4の酵素活性測定法の確立を目指しつつ、Coq4の酵素精製を進める。本来の基質は長いイソプレノイド側鎖を持つ疎水性の高い物質であるが、イソプレン単位が一つだけの比較的親水的な基質が市販され始めたことから、この物質を利用した酵素活性測定法の確立を目指す。同時に、本来の計画である、疎水的な基質を使った活性測定法の確立にも挑戦する。 UbiNの脱炭酸能に関与するアミノ酸残基の推定が難しいことが分かってきたため、候補となるアミノ酸残基を厳密に選定することなく、比較的多くのアミノ酸のアラニン置換体を作成し、脱炭酸の機構解明を目指す。
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