研究課題/領域番号 |
23K05053
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38040:生物有機化学関連
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
真壁 秀文 信州大学, 学術研究院農学系, 教授 (90313840)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
|
キーワード | proanthocyanidin / pyrogallol / antitumor / fluorecent probe / プロアントシアニジン / 分子プローブ |
研究開始時の研究の概要 |
1. ピロガロール基を有するプロアントシアニジンの作用機序の解明 エピガロカテキン等を構成単位としたピロガロール基を有するプロデルフィニジンやガレート型プロシアニジンは顕著な癌細胞増殖抑制を示す。本研究では蛍光分子プローブを創製し、活性発現に関与する標的タンパク質を明らかにする。 2. エピガロカテキンとエピカテキンガレート重合体の改良合成と抗腫瘍活性の評価 エピガロカテキンやエピカテキンガレートの4量体以上の合成では, 脱ベンジル化反応でフラバン結合が切断されることがわかった。この問題の克服のため,光redox触媒とDDQを用いる反応条件を検討する。合成した化合物に関しては抗腫瘍活性の評価を行う。
|
研究実績の概要 |
プロアントシアニジン類は、エピカテキン等を構成単位とした重合体であり、抗腫瘍などの生物活性を有している。しかし、作用機序の解明が遅れている。 研究代表者は、この問題を解決するために中分子オリゴマーの化学合成を行ってきた。合成した化合物に関して抗腫瘍活性を調べた結果、顕著な生物活性を有する化合物は、ベンゼン環に連続する3つの水酸基があるピロガロール基を有することを明らかにした。そこで本研究では、ピロガロール基を有するプロアントシアニジンオリゴマーに焦点をあてて各重合体と分子プローブを合成し、標的分子の同定による抗腫瘍活性の作用機序解明を目的とした。2023年度の研究成果は(1)ピロガロール基を持つエピガロカテキンガレート2量体の合成と(2)エピガロカテキン2量体の蛍光プローブの合成である。 (1)ピロガロール基を持つエピガロカテキンガレート2量体の合成: エピガロカテキンガレートのフェノール性水酸基全てをベンジル化し、4位に脱離基を導入した化合物の2量化反応を試みた結果、脱離基としてジエチレングリコールを用いた場合に反応が進行した。続いて、全てのベンジル基と4位のC-O結合をPearlman触媒を用いて加水素分解を行い、エピガロカテキンガレート2量体の合成に成功した。(2)エピガロカテキン2量体の蛍光プローブの合成:エピガロカテキンの自己縮合反応を用いた2量体求電子体を合成し、one-potで4”位のアリル化を行い、蛍光発色団であるBODIPYでラベル化したエピガロカテキン2量体の蛍光プローブの合成に成功した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度の研究計画では、エピガロカテキン2量体の蛍光プローブの合成を挙げていたが、全合成を達成することができた。総収率が0.15%とまだ低いことが課題として残ったため、収率を改善し、がん細胞の標的タンパク質を同定する必要性が生じた。また、もう一つの課題であるエピカテキンガレートオリゴマーの合成では、複雑な構造を有するエピガロカテキンガレート2量体の合成を達成し、現在論文発表の準備をしている。本合成手法は3量体以上の化合物の合成に適用を拡大することが可能である。 以上の研究成果を鑑みて、研究は概ね順調に進展していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
(1)ピロガロール基を持つエピガロカテキンガレート重合体の合成: 複雑な構造を有するエピガロカテキンガレート2量体の合成を達成したが、この合成中間体を求電子体として用いることができるため、さらなる重合度の高い化合物の合成を展開する。 (2)エピガロカテキン2量体の蛍光プローブの合成:エピガロカテキン2量体の蛍光プローブの合成を達成したが、最終工程の蛍光色素の導入過程が低収率であった。その原因は、縮合反応の反応性の低さとHPLC精製時の過重合体の生成にあると考えられるため、縮合反応の最適化とHPLC精製の溶出溶媒を検討し、収率の向上を図る。その後、本化合物を用いてがん細胞の標的タンパク質を同定する予定である。
|