研究課題/領域番号 |
23K05066
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38040:生物有機化学関連
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
廣津 直樹 東洋大学, 生命科学部, 教授 (40584389)
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研究分担者 |
加藤 悦子 東洋大学, 食環境科学部, 教授 (00355752)
長谷川 輝明 東洋大学, 生命科学部, 教授 (90423566)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | イネ / フィチン酸 / フラグメントスクリーニング / 玄米 / 創薬 |
研究開始時の研究の概要 |
亜鉛や鉄などのミネラルは穀物に含まれるフィチン酸と結合するとヒト体内で消化・吸収されることなく排出されてしまう。そのため穀物からの亜鉛や鉄の摂取量を増加させ欠乏リスクを低下させるためには、フィチン酸含量を低下させることも必要である。これまでに申請者らは、種子のフィチン酸含量は開花後10日におけるINO1遺伝子の発現量が制御していることを明らかにしてきた。そこで本研究では、INO1タンパク質の時期特異的阻害によって、種子のフィチン酸含量を低下させる薬剤の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
本年度は、新規イネINO1アンタゴニストの探索として19F NMRを用いたフラグメント化合物の探索を行い、フラグメントライブラリー中の1134種の化合物から、リコンビナントINO1に結合する122種の候補化合物を選抜した。得られたヒットフラグメントの阻害活性を測定したところ、阻害率0 - 80%の範囲で酵素活性を阻害することを確認した。高い阻害活性を有する化合物に注目するため阻害率70%以上を示したフラグメント化合物を選抜し、最終的に21種のフラグメント化合物を候補化合物として取得した。表面特性の特徴に基づいて化合物のグループ化を行い、選抜した21種の化合物を8つのグループに分類した。各グループから最も高い阻害活性を有するフラグメント化合物を選抜し、8種の化合物を最終ヒットフラグメントとして選定した。この8種の化合物を委託合成して取得した。 選抜したヒットフラグメントを発達中の種子に散布処理し、形成された玄米中のPA含量を測定した。粒重あたりのPA含量を算出し、化合物を処理していないコントロール区のPA含量と比較した結果、いくつかの化合物処理区で玄米中PA含量の有意な低下が確認され、最大で30%以上のPA含量の減少が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新規イネINO1アンタゴニストの探索として、酵素阻害活性を有する8種の化合物を選定し取得した。さらにイネへの処理も前倒して行い、影響を予備的に調査することができた。 一方で、酵母INO1アンタゴニスト(dGVP)の合成も開始しているが最終目的産物までには到っていない。合成が完了し次第、INO1活性に対する阻害率を調べていく必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、ヒットフラグメントがINO1のどの部位に結合し、酵素活性を阻害するのか、構造生物学的観点からの酵素-リガンド相互作用の考察が不足している。INO1のX線結晶構造解析を進めていくほか、モデリング構造を用いたドッキングシミュレーションを行うことで、より詳細な相互作用解析を行なっていく予定である。 また、イネへの影響については、処理方法や濃度を詳細に検討していく必要がある。
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