配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
研究実績の概要 |
ヒト小腸オルガノイドの培養に必要なサイトカインであるWnt3a, R-spondin1, Noggin, Hepatocyte growth factor (HGF) は、市販の組み換えタンパク質を購入すると非常に高額となるため、ヒト小腸オルガノイドを基礎研究の実験材料として使用する上で障壁となる。そこで、研究代表者はこれらのサイトカインをマウスL細胞にレンチウイルス発現系を用いて発現バランスが最適になるように安定発現させ、その培養上清をオルガノイドの培地とすることで培養コストを大幅に削減する方法を開発した(Stem Cell Reports, 2018; Scientific Reports, 2023)。その一方、ヒト肝臓オルガノイドの培養には、R-spondin1, HGF, FGF7, FGF10が必要である。そこで、ヒト小腸で行った方法と同様の方法で安定発現細胞を樹立し、その培養上清を培地とすることで肝臓オルガノイドにおいても培養コストを大きく削減することに成功した。さらに、ヒト肝臓オルガノイドを一過的に二次元培養後、遺伝子導入を行い再度三次元培養することで、結果として肝臓オルガノイドに高効率に遺伝子を行う方法も確立した。また、肝臓オルガノイドを研究代表者が作製した増殖培地で拡大培養後、既存の成熟培地で培養すると、肝細胞マーカーの発現が大きく上昇し、肝細胞の成熟化が示唆された。このとき、インスリン応答や脂質負荷時の細胞内脂質蓄積といった、肝細胞としての基本的な生理応答が確認された。さらに、脂質代謝関連遺伝子の発現は押し並べて高かったことから、マウスなどのげっ歯類と種差があり、株化細胞では再現できない現象である、超低密度リポタンパク質の分泌を評価した。その結果、肝臓オルガノイドの培養上清において、生理的な密度に相当する超低密度リポタンパク質の存在が確認された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
一部の計画変更はあったが、当初の計画内容以上の検討を実施し、以下の学術論文への掲載に至った。 *Kuboyama-Sasaki, A., *Takahashi, Y. (Corresponding), Xia, C., Hiro, K., Kobayashi, T., Ohdan, H., Shimizu, M., Yamauchi, Y., Kiyono, H., Sato, R. (*equally contributed) Establishment of a cell culture platform for human liver organoids and its application for lipid metabolism research. 『Biotechnology Journal』19: e2300365, 2024.
|