研究課題/領域番号 |
23K05074
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
和田 美貴代 熊本大学, 大学院生命科学研究部附属グローバル天然物科学研究センター, 特任准教授 (80771188)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
キーワード | カイコ / スクリーニング / インスリン抵抗性 / 糖代謝改善 / 脂質代謝改善 / 肥満 / 高脂血症 |
研究開始時の研究の概要 |
哺乳動物を用いた動物実験廃止の動きは機能性食品分野にも広がっている.それに伴い,動物倫理問題のない無脊椎動物を用いた評価系が注目されている.なかでもカイコは,体サイズが大きく薬物投与や解剖がしやすい,薬物の体内動態がヒトに近いことなどから,代替動物としての優位性が高い.カイコに高糖質食を与えると,高血糖,中性脂肪蓄積といった,ヒトの糖・脂質代謝異常に似た病態が発現し成長が抑制される.この高糖食カイコの成長促進およびに中性脂肪減少を指標に,糖・脂質代謝改善あるいは,抗肥満効果のある機能性食品素材の in vivo スクリーニング系を構築し,熊本大学が保有する約3000点の植物エキスを評価する.
|
研究実績の概要 |
動物倫理問題のない無脊椎動物であるカイコを用いて,1)糖代謝改善,2)抗肥満・脂質代謝改善効果を持つ素材のスクリーニング系を構築した.
1) 高糖食カイコの成長促進を指標とした糖代謝改善剤の評価方法:カイコに5齢1日目から高糖食を48時間与えることで,カイコ高血糖性成長不全(SHGGD)モデルを構築た.また,成長不全がインスリンシグナル伝達の低下によることを明らかにした.SHGGDモデルにメトホルミン,ピオグリタゾン,インスリン(いずれも糖尿病治療薬)あるいはAkt,AMPK(いずれもシグナル伝達系タンパク質)の活性化剤を混餌投与すると成長が改善した.また,各薬物とその阻害剤を同時に投与すると成長促進効果が消失した.インスリン分泌促進薬のグリベンクラミドとナテグリニドを混餌投与すると,ボンビキシンの血中濃度の上昇と成長促進が認められた.以上の結果は,SHGGDモデルの成長促進を指標として,糖代謝改善剤の評価が可能であることを示すものである.
2) 高糖食カイコを用いた抗肥満・脂質代謝改善剤の評価方法:カイコに5齢1日目から高糖食を72時間与えると,血リンパ中性脂肪,脂肪体重量,脂肪体中の中性脂肪が増加した(カイコ肥満・脂質代謝異常(SOLD)モデル)SOLDモデルに,高脂血症治療薬のフェノフィブラートを混餌投与すると,血リンパ中性脂肪量が低下した.また,ヒトで脂肪蓄積抑制効果そ示すエピガロカテキンガレートを混餌投与すると,脂肪体中および血リンパ中の中性脂肪量が低下した.両化合物投与で脂質代謝が改善したカイコでは,筋肉のリポタンパクリパーゼの活性化,脂肪体におけるAMPKの活性化,脂肪酸合成酵素とアセチルCoAカルボキシラーゼ活性の低下,脂肪酸β酸化の亢進など,哺乳類と同様の効果が確認された.以上から,SOLD モデルは脂質代謝改善効果評価系として有用性であることが示された.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度に完成を予定していた,1) 高糖食カイコの成長促進を指標とした糖代謝改善剤の評価方法と2) 高糖食カイコを用いた抗肥満・脂質代謝改善剤の評価方法、は予定通り完成し,両技術に関する特許出願を行った。現在,高糖食カイコモデルを用いた,別の評価系の構築を進めている.
|
今後の研究の推進方策 |
今年度は,昨年度に完成したカイコ評価系を用いて,糖代謝改善効果,あるいは抗肥満,脂質代謝改善効果を持つ植物のスクリーニングを行う. また,高糖食カイコモデルを用いた,別の評価系を完成させる.
|