研究課題/領域番号 |
23K05082
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
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研究機関 | 北陸大学 |
研究代表者 |
佐藤 安訓 北陸大学, 薬学部, 講師 (40582367)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | ビタミンC / 表皮 / エピジェネティクス / 老化 / エピゲノム |
研究開始時の研究の概要 |
老化に伴う機能低下にエピジェネティクスの乱れが関与することがわかってきた。エピジェネティクスとはDNAメチル化に代表される塩基配列の変化を伴わない遺伝子発現制御機構である。現在高齢期の癌発症を中心に研究が進みつつあるが、正常な老化組織では未だ未解明な点が多い。そこで、高齢者の細胞から構築したヒト老化表皮にビタミンCを投与後、DNA脱メチル化や老化に伴う機能低下の抑制を実証する。
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研究実績の概要 |
老化に伴う機能低下にエピジェネティクスの乱れが関与することがわかってきた。エピジェネティクスとはDNAメチル化に代表される塩基配列の変化を伴わない遺伝子発現制御機構である。ビタミンCは抗酸化やコラーゲン重合など従来の作用に加えて、DNA脱メチル化酵素Tetの補酵素として機能する。すなわち、ビタミンCはDNA脱メチル化を介して老化に伴う機能低下を制御できる可能性が考えられる。高齢期の癌発症を中心にDNA脱メチル化の研究が進みつつあるが、正常な老化組織では現状未解明な点が多い。この現在未解明の問題点である正常な老化組織でのビタミンCのDNA脱メチル化を介した老化に伴う機能低下の制御を解明するために、これまでの申請者の経験を生かせる表皮にて本研究計画を立案した。 初めに高齢者の正常ヒト表皮角化細胞の単層培養を実施して、老化培養表皮の作製に必要な細胞条件を決定した。次に高齢者の正常ヒト表皮角化細胞を重層培養してヒト老化表皮を作製後、ビタミンCを投与して組織学的解析を実施した。また対照として新生児の正常ヒト表皮角化細胞を用いた培養表皮も作製した。組織学的解析の結果、ビタミンCの投与により老化表皮で表皮厚の増加を認めた。一方、新生児由来の正常ヒト表皮角化細胞を用いた培養表皮と比較した場合、ビタミンCの投与による表皮厚への影響は新生児の表皮に強く認めた。すなわち、ビタミンCは年齢に問わず機能低下を抑制できる可能性があることが強く示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
申請書に記載した研究計画に基づき、高齢者の正常ヒト表皮角化細胞を重層培養したヒト老化表皮の作製を実施した。しかし、外部要因による高齢者の正常ヒト表皮角化細胞の入手遅延や細胞そのものの倍加時間の遅延により、ヒト老化表皮の作製条件決定に時間を費やした。ヒト老化表皮の作製条件決定後は速やかに組織学的解析を行った結果、ビタミンCは老化した表皮で機能低下を改善できる可能性が強く示唆された。今後、研究計画に記載されている組織構築後に行う解析手法は全て熟知しているので、この利点を生かし研究の飛躍的な進展を起こすべく引き続き取り組んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き正常な老化組織でのビタミンCのDNA脱メチル化を介した老化に伴う機能低下の制御を明らかにしていく予定である。具体的にはゲノム全体のDNAメチル化変化の解析を行いつつ、マイクロアレイおよび次世代シーケンサーを用いることでビタミンCによる遺伝子発現の変化を塩基配列と発現量という両面から明らかにすることで、DNA脱メチル化を介した作用であることを実証していく。今後、様々なステークホルダーを巻き込み共同して研究実施や打ち合わせなどを行い、研究成果を着実に挙げていきたい。
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