研究課題/領域番号 |
23K05087
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪産業技術研究所 |
研究代表者 |
渡辺 嘉 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 研究室長 (60416310)
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研究分担者 |
庄條 愛子 相愛大学, 人間発達学部, 教授 (40517265)
佐藤 博文 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 主任研究員 (70443546)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 母乳 / 脂質 / 消化促進 / 消化性 / 免疫賦活 |
研究開始時の研究の概要 |
母乳中の微量脂質に注目し、乳児が摂取する分子種や量を日本人の母乳中の含有量から推定する。消化酵素分泌が少なく腸内環境が未発達の早産児でも、微量脂質成分の機能を効率よく発揮させるため、消化管内で分解吸収性を高める手段を検討する。そして脂質機能性成分の消化性を向上させる手法を確立し、消化力が劣る早産児や乳児が、本成分を効率よく消化吸収できるような補助システムを人工調製乳などの製造技術に導入することを目指す。補助システムには、母乳中の微量脂質の中から免疫賦活能や界面活性能が高い分子種を検索して利用する。本技術は消化力や免疫力が低下してきた高齢者や糖尿を患う病者用の経腸栄養剤などへの展開も期待できる。
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研究実績の概要 |
母乳脂質の主成分のTAGは乳児が生存・成長するエネルギーと必須脂肪酸とを供給する。乳がもたらすエネルギーの50%を脂質が供給し、その98%はTAGである。さらに低体重新生児の成長促進を目的として、TAG強化した乳が供されている。ここにTAGの分解吸収性を高める技術を併用すると、より効率よく乳児の成長を促進できると期待される。脂質分解が脂質の水相への乳化分散によって促進されることを期待し、水相に対するTAGの物理的分散方法を検討した。水にTAGを添加し振盪撹拌しても短時間で分相が確認されたが、送液混合法では乳化剤無添加でも安定した分散状態が持続した。さらに酸性状態で乳化破壊しやすい人工胃液でも同様に安定な分散状態が得られた。次に消化管が分泌する脂質分解酵素によるTAGの分解率は、生体内で分泌される胆汁酸を添加した標準的な試験条件に比べ、乳化条件ではTAGからの脂肪酸の遊離速度が2倍以上増加した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画に従って項目Aでは乳中の微量脂質成分をLCMS分析する条件を設定した。ギ酸アンモニウムとアンモニアを含むIPA/MeOH/水と水を移動相としたグラジエント溶出によりHILIC RPカラムで乳脂質成分を分離できた。項目Bでは、乳微量脂質成分AGを定量するため標品合成を実施した。項目C)の脂質分解吸収性評価では、乳化物の消化性が向上することを見出した。D)は次年度より実施を計画している。
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今後の研究の推進方策 |
計画に従って項目Aではヒト乳中の胎脂成分(VC)やAGなど微量脂質成分をLCMS分析し、乳児の摂取量を推定と採乳時期などとの相関性を解析する。項目Bでは、乳微量脂質成分AGによる界面活性能評価を試みる。項目C)の脂質分解吸収性評価では、Bを活用して調製したTAG乳化物の消化性への評価する。D)AG免疫賦活能を分子種毎に比較し、効能の高い分子種を特定する。次年度はAGの評価を中心に実施する。
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