研究課題/領域番号 |
23K05094
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
佐藤 幸子 岩手医科大学, 医学部, 助手 (80837550)
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研究分担者 |
アリフ・ウル ハサン 岩手医科大学, 医学部, 講師 (00570368)
平 英一 岩手医科大学, 医学部, 教授 (60263240)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 砂糖入り飲料 / 糖類 / 肥満 / 小腸 |
研究開始時の研究の概要 |
肥満の悪影響はよく知られているが、肥満者数は上昇傾向のままである。糖類の過剰摂取が肥満化の要因と示されているが、そのメカニズムには不明な点も多く、解明が進めば新たな治療標的となる。最近、フルクトースコーンシロップが小腸上皮細胞の寿命を異常に延ばし腸絨毛の長さを増加させ、肥満を悪化させたり、糖類の代謝産物が大腸がんを発症させたりすることが明らかとなったが、その作用機構はいまだ不明である。そこで本研究では、糖類摂取マウスと腸上皮細胞を用いて、糖類とその代謝産物による腸上皮細胞死の減少や細胞数の異常な増加を明らかにし、代謝機構の観点から肥満化の新たな治療手段を提示する。
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研究実績の概要 |
【目的】本研究は、糖類の慢性的な摂取によって引き起こされる小腸上皮細胞への影響や、糖類の代謝機構を解明することで、肥満に対する予防的な栄養アプローチを提供することを目的としている。 【方法】マウスを水摂取群(コントロール)とスクロース飲料群に分け長期間摂取させた。その間の体重、摂餌量および飲水量を測定し、8週後には糖負荷試験を行った後、全血、小腸および大腸のサンプルを採取した。全血においては、インスリン濃度、炎症マーカー(IL-18)および肝機能バイオマーカーの測定を行った。半数の小腸サンプルは十二指腸から回腸末端までを摘出し、ロール状に巻き組織学的解析を行った。また残り半数の小腸サンプルは、十二指腸、空腸、回腸および大腸の4部位に分け、糖輸送体や炎症マーカーおよび免疫バリア機能に関するmRNA発現を確認した。 【結果】一日の摂取カロリーは二群間では同等であるにもかかわらず、スクロース飲料群の体重は有意に増加した。また、糖負荷試験ではスクロース飲料群の血糖値が有意に上昇したものの、インスリン分泌能の低下が生じていた。小腸や絨毛の長さにおいては有意差は見られなかった。小腸における糖輸送体および炎症マーカーの発現量は亢進しており、特に空腸部での発現が顕著であった。また、空腸部においては、腸のバリア機能マーカーであるMuc2の発現が減少していた。 【考察】スクロース飲料の慢性摂取が、糖の代謝を促進させ、栄養吸収力を向上させていることが示唆された。また、炎症マーカーの亢進やバリア機能の低下が引き起こされていることから、小腸の免疫力が低下していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
小腸のロール切片作製が確立できたことや、小腸の部位ごとでのmRNA発現量の比較も明確に結果として表れていることから、他の糖に関しても同様の実験手技で遂行できると考えられるため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、スクロース以外の糖類(グルコース、フルクトースなど)を使用した飲料を使用し、同様の実験を行う。 また、腸上皮細胞モデルを使用し糖類による影響についても検討する。
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