研究課題/領域番号 |
23K05096
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
小宮 佑介 北里大学, 獣医学部, 准教授 (80791665)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | オレイン酸 / 遅筋 / 筋線維タイプ / 成熟筋線維 / 新生筋線維 / MyHC1 / 筋損傷 / 筋再生 / 遅筋タイプ / PPARd |
研究開始時の研究の概要 |
骨格筋は代謝や収縮特性の違いから遅筋タイプおよび速筋タイプに大別され、遅筋タイプの増加は抗疲労・肥満体質作りに貢献できる。これまでに申請者は食品成分であるオレイン酸に遅筋タイプを増加させる作用があることを見出した。本研究では核内受容体PPARdに着目し、そのメカニズムを明らかにすることを目的とする。また、筋細胞の生体内での状態は、筋芽細胞から分化融合して形成される新生筋線維と筋組織を構成する成熟筋線維である。両者は同じ筋細胞でも異なる性質を示すため、それぞれの細胞ステージに対してオレイン酸が作用を示すかを検討する。
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研究実績の概要 |
これまでにオレイン酸をマウス筋芽細胞から分化誘導した筋管(新生筋線維)に作用させることで遅筋タイプのミオシン重鎖(MyHC)1が増加することを見出した。一方で、短趾屈筋(FDB)から単離した成熟筋線維においてはオレイン酸の添加ではMyHC1は変化しなかった。FDB(2A、2X主体)におけるオレイン酸によるMyHC1が変化しなかった理由が成熟筋線維であるからか、筋線維タイプの選択性によるかを明らかにするために、筋線維タイプ標識マウスを用いて、ヒラメ筋(1、2A主体)およびEDL(2X、2B主体)から成熟筋線維を分取した。各筋線維タイプごとにオレイン酸を6時間作用させた結果、いずれのタイプにおいても筋線維タイプの変化は確認されなかった。そのため成熟筋線維においてはタイプにかかわらず、オレイン酸の筋線維タイプ変換効果は機能しないことが示唆された。 上記より、成熟筋線維よりも新生筋線維にオレイン酸の効果が高いことが示唆されたため、生体で新生筋線維を形成するであろう筋再生に着目した。前脛骨筋に薬剤で筋損傷を誘導したマウスに10%オレイン酸混合飼料を自由摂取させた。損傷から3、7、14日後に筋組織を摘出した。摘出した筋組織から凍結切片を作製し、HE染色およびMyHC四重免疫化学染色を行った。また、RT-qPCRによりmRNA発現量を解析した。HE染色の結果、再生の指標である中心核陽性筋線維数は損傷後14日目においてオレイン酸群で有意に減少した。MyHC染色の結果、損傷後14日目のオレイン酸群でMyHC1、2A、2A+2X筋線維比率の有意な増加およびMyHC2Bの有意な減少が確認された。RT-qPCR解析の結果、損傷後7日目において、Myh7およびMyh2のmRNA発現量がオレイン酸群で有意に増加した。オレイン酸は筋再生を促し、再生後の筋線維タイプを遅筋方向に誘導することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
成熟筋線維を用いて、オレイン酸が筋線維タイプおよび脂質代謝に与える影響を検討した。筋線維タイプ標識マウスを用いて、ヒラメ筋(1、2A主体)およびEDL(2X、2B主体)から成熟筋線維を分取し、qPCR解析を行い、筋線維タイプの変化は生じないことを明らかにしたが、安定したサンプルを得ることが難しく、再現性の取得に至っていない。そこで、一細胞からRNAを抽出する手法を用いて、引き続き検討を行う。 動物試験では新生筋線維を生体で形成しうることが想定される筋再生時にオレイン酸を摂取させることで再生が促され、再生後の筋線維タイプが遅筋方向に移行することを見出した。先行研究で、オレイン酸による新生筋線維における脂質代謝関連遺伝子の発現量増加はPPARdeltaの活性化を介していることを明らかにしているため、骨格筋特異的なPPARdeltaノックダウンマウスを用いてその関連を調べる。
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今後の研究の推進方策 |
筋線維タイプ標識マウスのEDL筋およびヒラメ筋から各筋線維タイプごとの筋線維を単離し、オレイン酸の作用を再度確認する。また、成熟筋線維でも新生筋線維同様にオレイン酸による脂質代謝促進にPPARdが関与しているかをアンタゴニストを用いて検討する。 動物実験においても引き続き新生筋線維を形成しうるであろう生体の状況でのオレイン酸の作用を検討する。まず、PPARdelta骨格筋特異的欠損マウスを使用して、筋損傷誘導薬剤カルディオトキシンを前脛骨筋に注入し、筋損傷を誘導する。10%オレイン酸混合飼料を自由摂食で14日間飼育する。オレイン酸による筋再生後の筋線維タイプの変化にPPARdeltaが関連しているかを確認する。また、運動トレーニングへの影響も検討する。マウス用トレッドミルを用いて、週に3日、15 m/min、1時間の条件で運動トレーニングを負荷する。運動トレーニングの1時間前に1000 mg/kg体重のオレイン酸を経口投与する。トレーニングと投与は4週間継続する。3週目にトレッドミルを用いて持久力を測定する。飼育終了後、骨格筋を摘出し、遅筋タイプやミトコンドリア関連因子のmRNAおよびタンパク質発現量を解析する。
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