研究課題/領域番号 |
23K05100
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
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研究機関 | 星薬科大学 |
研究代表者 |
岩崎 雄介 星薬科大学, 薬学部, 准教授 (10409360)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | エナンチオマー / D-アミノ酸 / クロマトグラフィー / D-アミノ酸 / 薬物動態 / 脳機能 |
研究開始時の研究の概要 |
アミノ酸は、L体とD体の2種類のエナンチオマーが存在する。生体を構成するアミノ酸は、L体として存在し、D-アミノ酸は、D-アミノ酸酸化酵素によって酸化され、イミノ酸へと変換される。そのため、食品などから吸収されるD-アミノ酸はL-アミノ酸と比較して低濃度となるため、生体に対する影響の有無や程度は明らかでない。しかし近年、D-アミノ酸に特有の効果が示されて、化粧品や食品に使用される例が出てきた。そこで、本研究では、D-アミノ酸を多量に経口摂取し、D-アミノ酸として生体内で高濃度に達した場合、アミノ酸を材料として生成する神経伝達物質の質と量にどのような変化を与えるのかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
生体内で極微量に存在するD-アミノ酸には、L-アミノ酸と異なった生理活性を示すものが存在する。しかし、D-アミノ酸を多量に摂取した場合の様々な生体影響、特に、アミノ酸を初期物質として生成されるセロトニンやアドレナリンといった神経伝達物質の質や量に与える影響は明らかでない。申請者はこれまでに、質量分析用誘導体化法によって、実験動物の一個体から得られる微量試料から多種の生理活性物質を高感度に分析できる技術を開発した。その中で、キラル誘導体化試薬を用いることで、エナンチオマーの関係にあるアミノ酸を簡便に分離し、質量分析計で高感度に測定できる可能性を見い出した。本申請では、これらの知見や技術を用いることで、生体内で極微量の存在が示唆されているD-アミノ酸の分布を明らかにし、多量摂取がもたらす神経伝達物質や脳機能行動への影響を解明することで、D-アミノ酸の役割を明確にすることに繋げる。 2023年度は、実験動物に投与したエナンチオマーの関係にあるアミノ酸を分析するための手法の開発に着手した。そのために、各誘導体化試薬を選択し、実試料を用いた分析法バリデーションを比較することで、最適な分析法の開発を試みた。また、分析法を評価するため、実験動物へ経口投与後に分析が必要な生体試料からD-アミノ酸が良好に分析できるか確認した。また、内因性物質の変化を調べるために、還元型グルタチオンを測定対象物質とした分析法の開発に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
経口投与によって摂取させるD-アミノ酸の生体内への移行は低濃度である事が考えられるため、質量分析計を検出器にした高感度な分析法を検討した。その結果、市販されている2つの誘導体化試薬を用いることで、エナンチオマーの関係にあるアミノ酸を良好に分離することが可能となった。経口投与した後に分析が予定されている脳と血液試料を用い、分析法バリデーションを取得した結果、一部のアミノ酸において、良好な回収率を得ることができなかったため、分析法を改善する必要がある事が分かった。 一方、次年度に実施予定の脳内生理活性物質の測定の準備として、還元型グルタチオンの分析法について着手し、極微量の試料量から高感度に測定可能な分析法の開発を行った。以上の結果から、次年度に実施予定のための動物実験で得られる試料を分析できる準備は概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
エナンチオマーの関係にあるアミノ酸の分析法において、全ての化合物において良好なバリデーションを得ることができていないことから、新たな内標準物質を用いることで、精度の高い分析法の完成を目指す。また、実験動物を先行的に行い、経口投与したD-アミノ酸を生体内から分析できるか確認することで、構築している分析法が目標とする基準を満たしているか評価する。
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