研究課題/領域番号 |
23K05107
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
加藤 英介 北海道大学, 農学研究院, 准教授 (40466446)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 苦味受容体 / 肥満 / 脂肪細胞 / 肝細胞 / 苦味成分 |
研究開始時の研究の概要 |
口腔外苦味受容体は、食品中の苦味成分を感知して、ヒトの健康に影響を与えていることが示唆されている。本研究では、食品中の苦味成分が有する抗肥満効果に、脂肪細胞や肝細胞の苦味受容体が関与していると仮説を立て、それら細胞における苦味受容体の機能を明らかにすることを目的とした。本研究により、食品成分の抗肥満作用に関わる分子機構の解明や、苦味受容体を介した食品成分の生体調節機能の発見という成果が期待される。
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研究実績の概要 |
本研究では、味覚の感知を担う受容体タンパク質の一種である苦味受容体の遺伝子発現が脂肪細胞や肝細胞にも見られることと、苦味物質が抗肥満作用を有することに着目し、脂肪細胞と肝細胞における苦味受容体の機能解析を行っている。 本年度は、モデル細胞株である3T3-L1脂肪細胞とHepa1-6肝細胞を用いて苦味受容体を過剰発現、もしくはノックダウンした脂肪細胞、肝細胞の作成と機能解析を試みた。3T3-L1前駆脂肪細胞では、遺伝子導入手法としてリポフェクション法、エレクトロポレーション法を試みたが良好な結果が得られなかったため、アデノ随伴ウイルスベクターを用いることで苦味受容体を過剰発現させた。この細胞を分化誘導したところ、コントロール細胞と比べて脂肪蓄積が抑制され、分化マーカー遺伝子発現が低下していたことから分化が阻害されていることが分かった。またshRNA発現ベクターを用いた苦味受容体のノックダウンについても行い、同様に分化誘導が低下することを明らかとした。Hepa1-6肝細胞では、リポフェクション法を用いることで苦味受容体を過剰発現させ、遺伝子発現を解析したところ脂質代謝や糖代謝に関わる遺伝子発現が変化していた。しかしならが、細胞内の脂質や糖には明確な変化が見られなかった。 また、食品由来の苦味受容体アゴニストを探索するため、HEK293T細胞を用いた試験系を作製している。Gタンパク質を恒常発現させた細胞株を作製し、苦味受容体を発現するためのプラスミドベクターを種々調製した。これらを用いてCa2+濃度変化を指標とした試験系について構築の検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、苦味受容体を過剰発現、ノックダウンする方法の確立を目指しており、それらについては達成でき、さらにモデル細胞ではあるが機能解析まで進めることができた。一方、苦味受容体のアゴニスト探索については、系の構築に手間取り探索まで進められていない。一部は良好に進展し、一部は遅れているため、全体としてはおおむね順調と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
苦味受容体を過剰発現、ノックダウンする方法が確立できたため、これらを用いて正常細胞である初代培養細胞に対して適用し、機能解析を計画通り行っていく。 苦味受容体のアゴニスト探索については、系の構築に手間取っているため、より高感度な検出が期待できる化学発光を利用した試験系の構築についても検討することで、問題を解決しようと考えている。系の構築後は予定通り各種の食品成分についてアゴニスト作用の評価を行っていく。
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