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ビタミンB3代謝系による分化制御機構の解明と高齢時2型糖尿病の予防への応用

研究課題

研究課題/領域番号 23K05109
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分38050:食品科学関連
研究機関信州大学

研究代表者

三谷 塁一  信州大学, 学術研究院農学系, 助教 (40773304)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
キーワードビタミンB3 / 脂肪組織 / NAMPT / 耐糖能 / 2型糖尿病 / NAD / 2型糖尿病 / 脂肪細胞
研究開始時の研究の概要

成熟脂肪細胞は、様々な生理活性物質を分泌することで全身の代謝機能を制御する。高齢時の2型糖尿病の発症は、老化による成熟脂肪細胞数の減少が一因と考えられている。従って、老化によって変化する脂肪細胞の分化制御機構を解明することは、高齢時2型糖尿病の予防に不可欠となる。老化によってビタミンB3の代謝反応が低下することはよく知られているが、脂肪細胞の分化に及ぼすビタミンB3代謝系の影響は未だ不明な点が多い。そこで、本研究では、ビタミンB3代謝系による脂肪細胞の分化制御メカニズムを解明し、食品成分によって脂肪細胞の成熟化を制御することで、高齢時2型糖尿病の発症を予防できるのかを証明する。

研究実績の概要

高齢時の2型糖尿病の発症は、老化によって成熟した脂肪細胞数が減少することが一因である。成熟脂肪細胞は糖や脂質の代謝機能を持ち、この機能の破綻が2型糖尿病の発症リスクを上昇する。従って、高齢時2型糖尿病の予防方策を提案するためには、老化によって変化する脂肪細胞の分化制御機構の解明が不可欠といえる。私達はビタミンB3(B3)の代謝酵素を阻害することで脂肪前駆細胞から成熟脂肪細胞への分化が減退することを発見している。そこで、本年度はB3代謝系による脂肪細胞の分化制御機構の解明をこころみた。
ビタミンB3の代謝物であるNADは脱アシル化反応の基質として働くことでタンパク質の機能を制御する。従ってB3代謝系がタンパク質の脱アシル化を介して脂肪細胞の分化に寄与する可能性がある。B3の代謝酵素であるNAMPTの酵素活性を阻害すると脂肪細胞分化の主要転写因子であるPPARγの発現量は転写レベルで抑制されたが、その上流に位置するC/EBPβ、C/EBPδの発現量は変化しなかった。また、脱アセチル化酵素であるSIRTファミリーをノックダウン(KD)した結果、SIRT1、SIRT3のKDでは脂肪細胞の分化に影響がなかったものの、SIRT4をKDすると脂肪細胞の分化が著しく抑制された。SIRT4のKDはPPARγの発現量は減少したものの、C/EBPβの発現量には影響がなかった。従って、SIRT4のKDはNAMPTの阻害と同様の作用を示した。脂肪細胞分化に関与するSIRT4の標的タンパク質を探索した結果、ミトコンドリアタンパク質であるAdenine nucleotide translocator 2 (ANT2)を見出した。ANT2をKDすることで脂肪細胞への分化は抑制されたことから、SIRT4はNADを基質としてANT2の翻訳後修飾に関与することで脂肪細胞への分化を制御していることが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

R5年度の実験計画である「B3代謝系による脂肪細胞への分化制御機構の解明」が順調に進んでいる。また、R6年度の「B3代謝系の活性化が高齢時2型糖尿病の予防に資するかの検討」に関する動物の飼育は開始していることから、年次計画よりも少し進んで解析を行えている。

今後の研究の推進方策

R6年度は「ビタミンB3代謝系の活性化が高齢時2型糖尿病の予防に資するかの検討」を実施する。
ビタミンB3代謝系の活性化が、実際に老化マウスの脂肪前駆細胞の分化能を回復させ、高齢時2型糖尿病の予防効果を示すのかを検証する。私達はこれまでに, 大豆イソフラボン (ゲニステイン: Gen)の摂取が脂肪組織のNAMPTタンパク質の発現量とNAD合成量を増加(=B3代謝系の活性化)することを健常マウスで見出している。そこで、Gen混餌試料を老化促進モデルマウス摂取させ、高齢時2型糖尿病に対して予防効果を発揮するのかを評価する。試験項目は、糖尿病の病態である耐糖能異常、Adiponectinの産生量、脂肪組織における成熟脂肪細胞数の割合である。
R7年度は「脱アセチル化に着目した脂肪細胞への分化能を活性化する食品成分の探索」を実施する。ビタミンB3の代謝物であるNADは脱アセチル化の基質として働く。従って、ビタミンB3代謝系の活性化と脂肪細胞の成熟化にはタンパク質の脱アセチル化が関与すると考えられる。そこで、食品成分から成熟脂肪細胞への分化を誘導する化合物を脱アセチル化の観点から探索する。ブドウ果皮に含まれるスチルベン化合物は, SIRTによる脱アセチル化反応を促す。スチルベン化合物が脱アセチル化を介して成熟脂肪細胞への分化を亢進するのかを検討する。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (7件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Genistein enhances NAD+ biosynthesis by upregulating nicotinamide phosphoribosyltransferase in adipocytes2023

    • 著者名/発表者名
      Watanabe Shun、Haruyama Riki、Umezawa Koji、Tomioka Ikuo、Nakamura Soichiro、Katayama Shigeru、Mitani Takakazu
    • 雑誌名

      The Journal of Nutritional Biochemistry

      巻: 121 ページ: 109433-109433

    • DOI

      10.1016/j.jnutbio.2023.109433

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] NAD+代謝制御酵素の発現調節を介した脂肪細胞の質的制御2024

    • 著者名/発表者名
      三谷塁一
    • 学会等名
      日本農芸化学会2024年度大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 食品成分の標的タンパク質の同定とそれに基づく機能性発現メカニズムに関する研究2024

    • 著者名/発表者名
      三谷塁一
    • 学会等名
      日本農芸化学会2024年度大会受賞講演
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] カカオ豆抽出物が脂肪細胞の褐色化を誘導する分子機構の解析2023

    • 著者名/発表者名
      米本 英都、三谷 塁一
    • 学会等名
      2023年度日本農芸化学会 中部・関西支部合同大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ゲニステインはNAD合成経路を活性化することで糖代謝を改善する2023

    • 著者名/発表者名
      三谷 塁一、渡邉 駿、春山 莉輝、富岡郁夫
    • 学会等名
      日本栄養・食糧学会2023年度大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] カカオ豆抽出物はβ3アドレナリン受容体を直接刺激することで脂肪細胞の褐色化を誘導する2023

    • 著者名/発表者名
      米本 英都、鈴木 真彩、三谷 塁一
    • 学会等名
      日本栄養・食糧学会2023年度大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] レスベラトロール誘導体はβ酸化関連遺伝子の発現を誘導し異所性脂肪の蓄積を減少する2023

    • 著者名/発表者名
      鈴木 真彩、米本 英都、高谷 智英、三谷 塁一
    • 学会等名
      日本栄養・食糧学会2023年度大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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