研究課題/領域番号 |
23K05117
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
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研究機関 | 高崎健康福祉大学 |
研究代表者 |
今井 純 高崎健康福祉大学, 薬学部, 准教授 (30342918)
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研究分担者 |
坂井 隆浩 高崎健康福祉大学, 薬学部, 助教 (10418618)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | アルツハイマー病 / アミロイドβ / タンパク質の品質管理機構 / K48ユビキチン鎖 / epigallocatechin gallate / ユビキチン化 |
研究開始時の研究の概要 |
AD発症の原因は、アミロイド前駆体タンパク質(APP: Amyloid Precursor Protein)が細胞膜でプロセッシングされて生成するアミロイドβ(Aβ: Amyloid β)が蓄積されることである。このAβの蓄積には、細胞内で変性タンパク質を検出、分解または隔離するタンパク質の品質管理機構の障害が重要な役割を果たしていることが明らかとなった。そこで本研究では、タンパク質の品質管理機構の障害を継続的に可視化可能なK48Ub鎖定量化マウスを使用し、タンパク質の品質管理機構の障害を指標として、 EGCGがADの発症と進行を抑制する分子機構を解明し、ADの予防法、根治法を開発する。
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研究実績の概要 |
アルツハイマー病(AD)の原因は、アミロイド前駆体タンパク質(APP: Amyloid Precursor Protein)が細胞膜でプロセッシングされて生成するアミロイドβ(Aβ: Amyloid β)が蓄積されることである。しかし、AD発症時には不可逆的な神経細胞死を生じているため、ADの進行を抑制する治療法はあるが、根治療法は未だに存在しない。このため、ADの予防・根治には、神経細胞障害・細胞死を生じる以前の潜伏期に、Aβの蓄積を回避することが有効であるが、潜伏期のADを簡便に検出する方法は存在しない。近年、Aβの蓄積が細胞内で立体構造の乱れたタンパク質(変性タンパク質)を検出、分解するタンパク質の品質管理機構(品質管理機構)の障害によって引き起こされることが明らかとなった。本研究の目的は、変性タンパク質などを分解、除去するシグナルとして、タンパク質の品質管理機構において中心的な役割を果たすK48ユビキチン鎖(K48Ub鎖)の蓄積を指標として、品質管理機構の障害を検出、定量化し、これに対するEGCG(epigallocatechin gallate)の効果を検証することである。令和5年は、神経細胞由来のNG108に2種類の蛍光タンパク質(Azg;Azami greenとKuo;Kusabira orange)を融合させたユビキチン(Azg-UbとKuo-Ub)の蓄積と2種類の蛍光タンパク質の間の蛍光 共鳴エネルギー移動(FRET;Fluorescence Resonance Energy Transfer)によって、1. 品質管理機構の障害を検出・定量化できること、2. 酸化ストレスによって品質管理機構が障害されること、3. EGCGが酸化ストレスによる品質管理機構の障害を回復することを確認した。このEGCGの効果はK48Ub鎖可視化マウスによって個体レベルでも確認している。現在、K48Ub鎖定量化マウスとADモデルマウスを交配、K48Ub鎖定量化・ADマウスの作出を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
理由 1、本研究でK48Ub鎖を定量する手法として、2種類の蛍光タンパク質間のFRETを使用する方法と、2分子(LgBiT:Large BiTとSmBiT:Small BiT)に分割したルシフェラーゼの断片間での自己補完性の2種類の手法を用いている。蛍光タンパク質を使用する方法は、in vitroで培養細胞を用いた実験に使用し、ルシフェラーゼ使用する方法は、in vitroで培養細胞を用いた実験とin vivoでマウスを用いた個体レベルの実験に使用している。これらの両実験系の間の検出感度と検出可能なユビキチン鎖には、差異があるため、双方の実験結果に乖離が生じる場合があり、これに対する対策は今後の推進方策(1、2)に示す。2、EGCGは単独で使用した場合、低レベルであるが品質管理機構を障害することがある。これはEGCGの還元性に由来するものと考えられ、酸化ストレスの存在下では酸化ストレスによる品質管理機構の障害を回復し、酸化ストレスとEGCGの加算的効果は認められない。しかし、この低レベルの品質管理機構を障害の出現とその強度は一定せず、細胞の状態や培地に使用される血清、抗生物質などの影響を受ける。これに対する対策は今後の推進方策(3、4)に示す。
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今後の研究の推進方策 |
1、現在のスクリーニング系を用いての、スクリーニングを継続する。 2、DC2.4のTh1への分化効率を、樹状細胞の交差抗原提示効率の測定に基づいて定量化する実験系を構築している。 3、現在のスクリーニング系は2種類の蛍光ユビキチンの一過性遺伝子導入細胞を利用した実験系であり、スクリーニング効率はDC2.4に対する遺伝子導入効率に 大きく依存し、実験間の差異が大きい。そこでより本実験系をより安定したスクリーニング系として確立することを目標として、安定遺伝子導入細胞の確立を目 指した実験を行っている。 4、大腸のリンパ節において腸内共生細菌を検出し、Th1状態を誘導する作用の最も強いDCはcDC1であるが、現在のスクリーニング系はmo-DC由来の培養細胞であるDC2.4を使用している。moDCはcDC1と類似した病原体関連分子を検出するセンサー分子群を発現し、抗原刺激依存的な強いTh1誘導能力を持つが、より自然状態 に近い抗原刺激に対する選択性を有するcDC由来の培養細胞であるmutuDCを使用した実験系を並行して開発し、現在のスクリーニングの結果を検証するととも に、さらに効率的なスクリーニング系を開発を目指している。 5、スクリーニングで得られた細菌を分離後、純粋培養を行い株化、その菌体、培養液などを樹状細胞由来の培養細胞、マウスの骨髄由来の樹状細胞に投与、 同定した菌がThバランスに与える影響を細胞レベルで確認する。
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