研究課題/領域番号 |
23K05120
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
解良 康太 東京農業大学, 応用生物科学部, 助教 (30644546)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | メタボローム解析 / 食品安全利用 / 青パパイヤ / パパイヤ葉茶 / カルパイン |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題では、健康機能面から注目されている青パパイヤ(未熟果実)及び葉や幹など部位について、機能性食品及び加工原料としての展開・利用拡大を支える安全利用に関する知見整備と技術開発を行う。ノンターゲットメタボローム解析により、既知のリスク因子に加え、それらの未知構造類縁体を含めた危害要因リストの拡充を行う。また、実際に消費される状況を想定し、調理方法や製品加工工程を通して苦味やリスク要因を低減する手法を検討する。加えて、免疫学的測定手法による簡便な危害要因検出手法の開発を目指す。これらの成果は、消費者だけでなく、国内の青パパイヤ生産者の収益安定化にも寄与する。
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研究実績の概要 |
本研究課題では、健康機能面から注目されている青パパイヤ(未熟果実)及び葉や幹などの部位について、機能性食品及び加工原料としての展開・利用拡大を支える安全利用に関する知見整備と技術開発を行うことを目的としている。本年度は青パパイヤの性別による生理活性物質の違いについて検討した。縦長形状の両性株と丸形の雌株由来の青パパイヤの果皮、果肉、種子を分けてサンプリングし、80%メタノールによる成分抽出を行い、LC/Q-TOFによる成分分析を行った。その結果、青パパイヤ特異的なアルカロイドであるカルパイン、デヒドロカルパインI、デヒドロカルパインIIは、雌株の方が多く含まれているとこが示唆された。一方、カルパイン類の予想前駆体であるカルパム酸については両性株の方が多い傾向にあることが示唆された。これにより、カルパイン類の機能性に着目した摂取やサプリメント化を進める場合には、雌株を材料とする方が効率的であることが示唆された。本研究成果により、サプリメント化する場合において、材料の性別により、副作用などのリスクについても異なることが示唆された。ノンターゲット解析に基づく成分ピークリストを作成し、主成分分析や階層的クラスター解析による多変量解析も行った。その結果、大半の成分については性別による違いは大きくないことが示唆された。加えて、パパインに代表されるシステインプロテアーゼ活性についても比較したが、性別による違いはなかった。これら研究成果については、Plant Biotechnologyに投稿し、現在は印刷中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、主に4つの課題に分けて推進することによって、青パパイヤの機能性食材化に向けた安全性評価手法の開発を目指している。 1. 「ノンターゲットメタボローム解析による毒性因子の構造類縁体の探索」では、青パパイヤの性別による生理活性物質の違いについて検討し、果皮、果肉、種子における成分分析を進めた。青パパイヤ特異的なアルカロイドであるカルパイン類についての分析に加え、ノンターゲット解析を進めた。アノテーションされた成分ピークについて、毒性予測ソフトウェアを導入し、リスク評価を進めている。また、パパインに代表されるシステインプロテアーゼ活性についてもカゼインを基質とした活性測定をおこなった。 2. 「調理過程における青パパイヤの毒性因子の定量解析」では、果肉について加熱調理等の前後においてLC/MSを用いた成分分析を実施した。現在はアノテーションなどデータ解析を進めている。 3. 「毒性因子の低減に向けたパパイヤ葉茶の加工方法の検討」では、作製方法を変えたパパイヤ葉茶について、LC/MSを用いたメタボローム解析を進めている。また、パパイヤ葉茶の新たな製造方法について、協力関係にある農家と検討を行い、2024年度に収穫予定の葉の加工方法について計画を作製中である。 4. 「青パパイヤ由来毒性因子の免疫学的測定手法の開発」では、ハプテン抗体の作製に向けて情報収集を進めるとともに、作製計画を立案した。現在は、有機化学的な手法による抗原となる分子の作製に着手した。
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今後の研究の推進方策 |
今後も主に4つの課題に分けて推進することによって、青パパイヤの機能性食材化に向けた安全性評価手法の開発を目指す予定である。 1. 「ノンターゲットメタボローム解析による毒性因子の構造類縁体の探索」では、毒性予測ソフトウェアを利用したリスク評価を進めるとともに、複数の分析カラム、分析モードを採用することで、メタボローム解析を進める予定である。 2. 「調理過程における青パパイヤの毒性因子の定量解析」では、1で検討した分析条件、成分情報を適用することでリスク評価を進める予定である。 3. 「毒性因子の低減に向けたパパイヤ葉茶の加工方法の検討」では、新たにパパイヤ葉茶を作製し、分析を進める予定である。また、メタボローム解析および多変量解析により、市販のパパイヤ葉茶との比較を進める予定である。 4. 「青パパイヤ由来毒性因子の免疫学的測定手法の開発」では、2024年中にハプテン抗体の作製を完了させ、ウェスタンブロット、ELYSAなどによってハプテン抗体の評価を進める予定である。
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