研究課題/領域番号 |
23K05124
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
高木 秀彰 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 助教 (10720261)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | テクスチャー / 階層構造 / 小角散乱 / 放射光X線 / 中性子 / 小角X線散乱 / in-situ測定 |
研究開始時の研究の概要 |
食品が示す美味しさの重要な要素の一つにテクスチャーがある。また多くの食品は階層構造を形成し、それらの階層構造が複雑に作用することで、最終的なマクロな力学物性としてテクスチャーが決まる。そこで、本研究ではテクスチャーという力学物性を食品が持つ広い階層構造の観点から解明することを目的とする。そのために、試料を“非破壊”で“その場”観察することができる放射光X線を利用した小角・広角散乱法に着目した。レオメータでテクスチャーの物性値測定をしつつ、同時に広い階層構造がどのように変化するのかを散乱法により追跡する。
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研究実績の概要 |
本研究課題では食品の階層構造とテクスチャーの相関を明らかにすることを目的に研究を進めている。テクスチャー装置を利用した実験は2023年度は開発中で利用できず、量子ビームを利用いて食品の階層構造を評価した研究を行った。2023年度は主に大型の放射光施設で発生させる放射光X線を利用した小角X線散乱測定(Small Angle X-ray Scattering, SAXS)を研究手法として様々な食品の階層構造評価等を行った。さらに入射ビームに中性子を使用した小角中性子散乱(Small Angle Neutron Scattering, SANS)なども食品を対象として実験を行った。 牛乳を対象にした研究では、pHを変えた研究を行った。牛乳にとってpHは物性と密接な関係があり、特にチーズやヨーグルトといった牛乳のゲル化には重要である。pHを変えた牛乳を作成し、放射光X線SAXSを利用して牛乳のミクロ構造がpH変化に対してどのように構造を変えているのかを調査した。その結果、牛乳の基本構造であるカゼインミセルの構造はpH変化に対してミセルサイズや水の含有量などが敏感に変化することが分かった。またSANSを利用し、SAXSとは異なる散乱プロファイルが得られることが分かった。 上記の研究はテクスチャーとは直接は関連はないが、階層構造とは密接に関係があり、今後はチーズやヨーグルトといったゲル化した試料を用いて階層構造とテクスチャーの関係を明らかにする研究を実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
食品は多様な階層構造を形成する複雑な系である。食品の重要な物性の一つにテクスチャーがあり、階層構造が複雑に作用することで、最終的なマクロな物性となる。本研究では試料を“非破壊”で“その場”観察することができる放射光X線を利用した小角・広角散乱法を利用してテクスチャーと階層構造の相関を明らかにすることを目的に研究を行っている。2023年度はテクスチャーを評価できるレオメーターを放射光施設の小角X線散乱(SAXS)装置の実験ハッチ内に設置し、散乱装置と同期するシステム開発を行った。 テクスチャーとの同期はシステム的に難しいことが判明したが、装置を外部から操作できるためテクスチャーと小角・広角散乱の同時測定には大きな影響は与えないため、今後は外部からの操作で実験を実施することとした。2023年度に予備実験まで行うことを想定していたが、そこまでは到達できなかた。
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今後の研究の推進方策 |
まずはテクスチャーと小角・広角散乱の同時測定が可能であることが分かったため、実際に試料を使って実験を行う。対象試料は階層構造が既知のコメやうどんなどを使って実験を進める。
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