研究課題/領域番号 |
23K05125
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
清水 裕 北海道大学, 水産科学研究院, 技術専門職員 (00374629)
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研究分担者 |
笹岡 友季穂 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 水産研究本部 中央水産試験場, 主査 (00825177)
平松 尚志 北海道大学, 水産科学研究院, 准教授 (10443920)
佐伯 宏樹 北海道大学, 水産科学研究院, 教授 (90250505)
清水 宗敬 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (90431337)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 食物アレルギー / 魚卵アレルゲン / アレルゲン定量系 / 不妊化魚類 / 異種交雑魚類 / ビテロジェニン / β’-component / 低アレルゲン化 / 染色体操作 / 不妊性魚類 / 魚卵 |
研究開始時の研究の概要 |
魚卵の主要アレルゲンである卵黄蛋白質は、肝臓で分泌されて、血液中に放出されるビテロジェニン(Vg)を前駆体としているが、このVgは卵黄タンパク質と同様のアレルゲン性を示す。それゆえ、成熟期にあるメス親魚の血液やそれを含んだ筋肉の喫食には魚卵アレルギー発症リスクがある。市場には、肉質の向上などを目的として生殖能力を喪失させた魚類(不妊魚)が流通しているが、これらは一部個体でVgを分泌することが判っており、魚卵アレルゲン低減化魚類として扱うことは困難である。そこで本研究では、市場に流通する複数種の不妊魚のVg分泌状態を調査し、その知見から不妊魚のVg分泌を抑制可能な生産条件の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,不妊化魚類にVgを分泌させずに生育する飼育法の確立である。本年度は,不妊化魚類のVg分泌を誘導する飼育環境などに関する知見を得るため,3つの工程に沿って研究を遂行した。各工程の実績について,下記に示す。 1.三倍体ニジマスにVg分泌の季節変動の調査(笹岡,清水(宗敬),清水(裕)):同質三倍体のモデルケースとして,三倍体ニジマスを選択し,そのVg分泌におよぼす季節変動の調査のため,2023年の7月(夏),11月(秋),1月(冬)にサンプリングを行った。本報告書の時点では夏,秋の測定まで終了している。夏と秋の段階では,明確なVgの分泌は確認されていなかった。現在,冬サンプルの測定と春サンプルのサンプリングの準備を進めている。 2.市場流通する不妊化三倍体調査のためのVg定量系の構築(平松,佐伯):本研究では,複数魚種のVg測定を予定しているため,先行研究にてシロザケおよびニジマスに対応した定量系を構築済みであるが,調査対象にはサクラマスやアメマスを母魚とする三倍体も存在する。それに対応するため,サクラマスおよびアメマスのVgに対応した定量系を構築した。Vg構造の魚種間差も考慮し,新たな抗体を作出して検討したが,既存のニジマスVg定量系の抗体濃度を変更することで,サクラマスおよびアメマスに対して十分な感度をもったVg定量系の構築に成功した。 3.市場流通する不妊性魚類のVg分泌状況の調査(清水):市場流通する不妊性三倍体サケ科魚類を5種(同質三倍体2種,異質三倍体3種)の内臓組織(筋肉,肝臓,腎臓,生殖腺,血液)に含まれるVgを測定した。その結果,いずれの魚類からも痕跡量を超えるVgは検出されず,魚卵アレルゲン性は確認されなかった。以上の結果から,市場流通する不妊化三倍体の魚卵アレルギー発症リスクは極めて低いことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,大別して4つの工程で作業を進めている。以下に各工程の進捗について述べる。 1.三倍体ニジマスにVg分泌の季節変動の調査:現在,予定通り夏から冬までのサンプリングを終え,春サンプリングの準備を進めている。 2.市場流通する不妊化三倍体調査のためのVg定量系の構築:当初の予定通り,定量系の構築に成功した。 3.市場流通する不妊性魚類のVg分泌状況の調査:一般に流通しているサケ科不妊性魚類が10種程度であるが,現状では5種の測定を終えている。 4.飼育条件検討のための雑種の作出:当初計画の通り,2年目(2024年度)から準備を始める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,4つの工程で作業を進めていく。以下に各工程の推進方針について述べる。 1.三倍体ニジマスにVg分泌の季節変動の調査:1年分のサンプリングが2024年の春に終了する。その結果を考慮し,凡例数を増やすため,もう一年サンプリングを行うか,別の検討を進めるかを決定する。 2.市場流通する不妊化三倍体調査のためのVg定量系の構築:工程3の進捗に応じて,必要なVg定量系の構築を進める。 3.市場流通する不妊性魚類のVg分泌状況の調査:未測定の流通魚類の入手と測定を進める。 4.飼育条件検討のための雑種の作出:母魚予定のニジマスの成熟を待ち,受精卵の作出に入る予定である。
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