研究課題/領域番号 |
23K05128
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
日野 真吾 静岡大学, 農学部, 准教授 (70547025)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | ムチン / 消化管 / 腸内細菌 / ラット |
研究開始時の研究の概要 |
本課題では,ラットを用いた試験を主軸に, ムチンの質的違いが腸内細菌や代謝物に与える影響を比較解析することで,特定の細菌種の増減や代謝物の変化が宿主の生体恒常性に与える影響を明らかにする(基礎研究)。同時に,新規プレバイオティクスとしてのムチンの有効性を明らかにする(応用研究)。
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研究実績の概要 |
本研究は,「宿主はムチンを腸内細菌に供給することで増殖・代謝を促し,一方,腸内細菌はSCFAを供給することで宿主の恒常性維持に寄与する」というムチンを介した宿主―腸内細菌の相利共生関係におけるムチンの生理的意義を明らかにするとともに,新規プレバイオティクスとしてのムチンの有効性を検証することを目的とする。本年度は,次年度以降に組成の異なるムチンを用いた比較試験を行うために,市販品であるブタ胃粘膜ムチン,エイ体表ムチンに加え,鶏卵オボムチンを調製する。オボムチンは鶏卵卵白を水で希釈した不溶性沈殿物の画分が用いられることが一般的であったが、卵白の主要たんぱく質であるオボアルブミンが相当量除去されずに残ることが分かった。そのため、鶏卵卵白からのオボムチン精製法を水での希釈法から塩析法に変更した。この変更に伴い, オボムチン精製に最適な塩およびその使用濃度について検討を行い,得られたオボムチン画分の組成を電気泳動によって確認した。その結果,最適化した条件でのオボムチンの純度は90%程度であった。この条件での鶏卵オボムチンの大量調製を現在進めている。 また,ブタ胃粘膜ムチン,エイ体表ムチンの市販品からエタノール沈殿法により純度を2倍程度に上げることに成功した。ブタ胃粘膜ムチン,エイ体表ムチンについては各種成分分析(糖含量,組成,硫酸根,O-結合性糖鎖当量ならびにアミノ酸組成, 灰分)を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
オボムチン精製法を当初の計画から変更したため, オボムチンの大量調製およびその分析が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
オボムチンの大量調製およびその分析を実施した後、当初の計画通り大腸へ流入するムチン種の違いが腸内細菌叢およびその代謝産物に与える影響をラットを用いた動物試験により明らかにする。具体的には, 大腸へのムチン流入量が内因性のラットムチンの2-3倍となるようにムチン素材を添加した飼料を調製する。この飼料をラットに摂取させ, 盲腸でのSCFA産生量, ムチン分解活性および16S rRNA遺伝子のメタゲノム解析を行う。また,ムチン素材を摂取させたラットの盲腸および結腸のIgA形質細胞およびTreg細胞比の測定(FACS)ならびに, 粘膜組織のサイトカイン発現パタンを測定する。加えて, 盲腸内容物のIgA濃度を測定する。なお, ムチン素材による違いが認められた場合,菌叢や代謝産物との関連を検証する。また,この違いが構成糖の違いによるものであるのかをムチン構成糖でシュミレートした飼料を調製し,同様の試験を行う。
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