研究課題/領域番号 |
23K05134
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
岡 大貴 東京農業大学, 応用生物科学部, 准教授 (20600232)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | A2ミルク / β-カゼイン / κ-カゼイン / カゼインミセル / 乳加工 / ヨーグルト / チーズ / 酸凝固 / 酸乳ゲル |
研究開始時の研究の概要 |
初年度では安定的に原料を入手するとともに、原料中のA1およびA2型のβ-caseinを定量し各遺伝子型の異なる生乳の分類を行う。その後、それら生乳中のカゼインミセル構造特性の解析を進める。2年目は加熱やミネラル組成によるミセル構造の変化を解析し、各環境下におけるカゼインミセルの性状を解析する。その後、3年目以降は乳加工性(ヨーグルトおよびチーズ)への影響について比較検討し、A2ミルクのカゼインミセル構造と乳加工性との関係性を解明する。
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研究実績の概要 |
本研究では、A2ミルクにおけるカゼインミセルの構造特性を明らかにし、A2ミルクが乳加工性に与える影響を明らかにすることを目的としている。 原料であるA1およびA2ミルクは、本学富士農場および那須拓陽高校から生乳(未殺菌)を入手し分析を行った。得られた生乳のβ-caseinの遺伝子型(A1およびA2型)を選別するため、LC/MS/MSによる定性およびRP-HPLCによる定量方法の検討を行った。RP-HPLCにてβ-caseinのピークが2本(ピーク①、②)得られ、それぞれのピークを分取しキモトリプシンにて消化後、得られたペプチド断片をLC/MS/MSに供し、Mascot解析により同定を行った。その結果、ピーク①はA1型β-casein(同定されたペプチド断片:SLVYPFPGPIHN)、ピーク②はA2型β-casein(SLVYPFPGPIPN)であることが確認され、RP-HPLCにてβ-caseinの遺伝子型が異なる生乳の選別方法を確立することができた。 また、カゼインミセル表面の構造特性を評価するため、動的光散乱法にてミセルサイズを測定したところ、A1型よりA2型の方がミセルサイズが小さい傾向がみられた。しかし、A1型のサンプル数が少ないことから、今後生乳サンプルを増やし関連性を検討していきたい。β-caseinのほか、αS1-, αS2-, κ-caseinをRP-HPLCにて定量し、カゼインの各分子種の存在量とミセルサイズとの関連性を検討した結果、κ-caseinが多いほどミセルサイズが小さい傾向がみられた。 乳加工性の評価として、本年度は酸乳ゲルの評価を行った。その結果、β-caseinの遺伝子型との関係性は得られなかった。一方、遺伝子型は関係なく、全てのサンプルを用いて統計解析を行ったところ、ミセルサイズが小さい乳ほど酸乳ゲル強度が高くなる傾向を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
A1およびA2ミルクの選別方法を確立することができたほか、カゼインミセルの構造特性、酸乳ゲルの評価まで解析を進めることができ、当初の計画通り進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度、A1およびA2ミルクのカゼインミセルの構造特性を比較したが、A1ミルクのサンプル数が少なかったことから、両者に明瞭な差をみることが出来なかった。次年度以降、A1ミルクのサンプル数を増やし、引き続きカゼインミセルの構造特性および乳加工性(酸乳ゲル形成性、チーズカード形成性)を評価していきたい。
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