研究課題/領域番号 |
23K05136
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
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研究機関 | 松本歯科大学 |
研究代表者 |
海野 俊平 松本歯科大学, 歯学部, 講師 (80418920)
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研究分担者 |
安藤 宏 松本歯科大学, 歯学部, 准教授 (30312094)
Hossain M.Zakir 松本歯科大学, 歯学部, 講師 (40792445)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | TRPチャネル / 嚥下障害 |
研究開始時の研究の概要 |
我々のこれまでの研究により、トウガラシの辛味成分であるカプサイシン等の食品成分が効果的に嚥下を誘発すること、カプサイシンは咽頭・喉頭領域の感覚神経に発現しているTRPV1チャネルによって受容されていることが判明している。しかし、その刺激を受容する咽頭・喉頭領域の感覚神経に発現するその他のチャネルや、それらのチャネルに作用して嚥下を効果的に誘発する食品成分の全貌は明らかになっていない。 そのため本研究では、高齢者における嚥下機能低下の問題に対する対策の一助として、安全かつ継続的に摂取でき、嚥下機能を効果的に改善しうる食品成分を網羅的に検索するための研究を行う。
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研究実績の概要 |
咽頭・喉頭領域に発現するTRPチャネルファミリー等の化学・温度・機械刺激センサーが嚥下反射の誘発に関与していることが、我々のこれまでの研究で明らかになっている。従って、これらのセンサーを適切に刺激することができれば、嚥下障害等の症状緩和・治療に役立つことが期待される。TRPチャネルファミリーはカプサイシンやメントール等の食品に含まれる成分も多いため、それらの食品成分利用した安全な治療薬の開発につなげられる可能性もある。そこで本研究では、嚥下誘発効果を持つ食品に含まれるTRPチャネル活性化物質を検索し、その嚥下誘発メカニズムを明らかにするための実験を行っている。2023年度は、TRPV4チャネルについて、咽頭・喉頭領域における発現・嚥下誘発効果・アンタゴニストを用いた阻害の影響等を調べた。TRPV4チャネルの発現は、咽頭・喉頭領域の感覚を支配する上喉頭神経の感覚神経の細胞体が存在する感覚神経節複合体(Nodose-Petrosal-Jugular ganglion complex)に抗TRPV4チャネル抗体を用いた免疫組織化学染色によって調べ、上喉頭神経感覚ニューロンの細胞体の約25%がTRPV4チャネル陽性を示すことを見出した。嚥下誘発効果およびアンタゴニストの影響は、アゴニスト投与に対する顎舌骨筋筋電図を用いて検証した。実験の結果、アゴニスト刺激によって誘発される嚥下反射が、TRPV4チャネルアンタゴニストRN-9893によって減弱することを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、TRPV4チャネルについて、咽頭・喉頭領域おける分布・発現状態、アゴニスト刺激による嚥下誘発効果、アンタゴニストの前投与による嚥下誘発効果への影響を検討した。実験の結果、上喉頭神経感覚神経の細胞体が存在する感覚神経節複合体におけるTRPV4チャネルの発現を確認し、TRPV4チャネルアゴニストによる嚥下誘発効果およびアンタゴニストの前投与による嚥下誘発効果の減弱を確かめた。TRPV4チャネルには食品に含まれるような化学的アゴニストが知られていないため、GSK-1016790Aおよび蒸留水を用いて効果を検証した。2種類の刺激物質はともに効果的に嚥下反射を誘発し、2種類の刺激物質によって誘発される嚥下反射は、アンタゴニストRN-9893によってともに減弱した。
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今後の研究の推進方策 |
咽頭・喉頭領域に発現するTRPV4チャネルが嚥下誘発に関与することは明らかになったが、TRPV4チャネルを効果的に刺激する食品成分は判明していない。2024年度以降はTRPチャネルを活性化させると考えられている食品成分(ピペリン・シンナムアルデヒド・ショウガオール等)による嚥下誘発効果を検索していく計画である。効果的に嚥下反射を誘発する食品成分が発見されたら、次に特異的TRPチャネルアンタゴニストを用いて、その食品成分による嚥下誘発の分子メカニズムを検証する実験に移行していくことを計画している。
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