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持続的な熱ストレスに対して形態変化を起こす液胞の解析

研究課題

研究課題/領域番号 23K05145
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分38060:応用分子細胞生物学関連
研究機関静岡大学

研究代表者

木村 洋子  静岡大学, 農学部, 教授 (80291152)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
キーワード酵母 / 熱ストレス / 液胞 / 形態変化 / 相分離 / Hfl1 / 陥入形成
研究開始時の研究の概要

我々は真夏の昼間の状態に似た持続的で亜致死的な熱ストレスが、細胞にどのような変化をもたらすかを酵母を用いて解析している。
酵母では熱ストレス時に液胞膜の陥入形成が起き、液胞膜が相分離していること、さらに陥入形成は細胞内因子によって制御されている事を明らかにしてきた。
本研究では、これまでの解析をさらに進め、液胞の陥入形成機構を液胞膜組成の変化や制御因子の作用機序の解明に焦点を当てて解析する。具体的には、まず変異株やストレス時の液胞膜の脂質の組成変化を明らかにする。また陥入形成の制御因子であるHfl1の機能解明を、細胞生物学的及び遺伝学的な解析により行う。

研究実績の概要

我々は、酷暑状態に似た、持続的で亜致死的な熱ストレスが、細胞にどのような変化をもたらすかを明らかにするために、真核生物のモデル生物である酵母を用いて解析を行っている。本研究では、熱ストレスに対して形態変化を著しく起こす液胞に着目した研究を行っている。
これまでに出芽酵母では、持続的熱ストレス時に液胞の変形、特に液胞膜の陥入形成が起き、このとき液胞膜が相分離すること、液胞膜陥入は相分離した部位から起きることを示した。また、オートファジー関連タンパク質Atg8やAtg8結合液胞膜タンパク質Hfl1の欠損変異株では、熱ストレスによって相分離は正常に起きるが、これらの変異株では熱ストレス時に液胞膜の陥入が異常に亢進することを示した。
さらに、Hfl1は陥入の根元に局在していることを明らかにし、相分離状態の液胞膜に働いて、膜陥入を調節している可能性を示した。そして、Atg8がないと、陥入の根元に集まらず、分解されることも示した。本年度は、Hfl1の機能解析をさらに進めて、液胞の膜変形時に働いていることを明らかにした。また、熱ストレス時に生じる液胞膜陥入は、熱ストレスが解除されると、液胞分裂を起こして元の状態に戻ること、また、これとタイミングが一致しながら、液胞膜の相分離状態が解除されることを見出した。この結果より、液胞膜の表面積が増加すると、相分離を起こしている場合には膜陥入を起こし、相分離を起こしていない場合には液胞分裂を起こす可能性が考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

熱ストレス時に生じる液胞膜陥入は、常温に戻すと、液胞分裂を起こしながら正常な形に戻ることを新たに見出した。さらに、それが液胞膜の相分離状態の解除とタイミングが一致していることがわかり、相分離が液胞膜の変形に重要な役割を果たすという新しい知見を得ているからである。

今後の研究の推進方策

① Hfl1の機能解析: Hfl1は、ある液胞膜変形プロセスに重要な役割を果たすことがわかったので、これに関する詳細な解析を進める。hfl1変異株では、そのプロセスのどこで止まるのかを電子顕微鏡解析を行い、詳細に明らかにする。各種の変異株でのHfl1-NGの局在を明らかして、Hfl1の局在に与える他の因子の影響を調査する。また膜の変形のin vitroの系を作成し、精製したHfl1タンパク質を加える実験を行う。熱ストレス時の液胞膜陥入形成時のHfl1-NGの詳細な局在を調べ、相分離した液胞膜のどこに局在するかを明らかにする。
②熱ストレス時と熱ストレス時からの回復期の液胞の形態変化の解析: 熱ストレスによる液胞膜陥入からの復帰は液胞分裂を伴うため、液胞分裂と陥入との関係を明らかにする。今までに、液胞分裂の変異株では、熱ストレス時に陥入も起きにくいことがわかっているので、さらに多くの変異株で試す。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (11件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Physicochemical properties of the vacuolar membrane and cellular factors determine formation of vacuolar invaginations2023

    • 著者名/発表者名
      Kimura Yoko、Tsuji Takuma、Shimizu Yosuke、Watanabe Yuki、Kimura Masafumi、Fujimoto Toyoshi、Higuchi Miyuki
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 13 号: 1 ページ: 16187-16187

    • DOI

      10.1038/s41598-023-43232-5

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 亜致死的熱ストレスに対するSaccharomyces cerevisiaeの緩和応答の解析2023

    • 著者名/発表者名
      大場由美子、加藤拓、只見秀代、木村洋子
    • 学会等名
      酵母遺伝学フォーラム第56回研究報告会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 出芽酵母の液胞膜ホメオスタシス制御機構の解明2023

    • 著者名/発表者名
      木村将文、清水耀介、木村洋子
    • 学会等名
      酵母遺伝学フォーラム第56回研究報告会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Atg8結合液胞膜タンパク質Hfl1の液胞融合における新規機能解析2023

    • 著者名/発表者名
      安藤亮汰、木村洋子
    • 学会等名
      酵母遺伝学フォーラム第56回研究報告会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 熱ストレス時におけるユビキチン・プロテアソーム系による核膜孔複合体の品質管理2023

    • 著者名/発表者名
      清水翔太、清水直樹、服部里菜、木村洋子
    • 学会等名
      酵母遺伝学フォーラム第56回研究報告会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Physicochemical properties of the vacuolar membrane and cellular factors determine formation of vacuolar invaginations2023

    • 著者名/発表者名
      Yoko Kimura, Takuma Tsuji, Yousuke Shimizu, Masafumi Kimura, Toyoshi Fujimoto, Miyuki Higuchi
    • 学会等名
      Cold Spring Harbor Asia
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 熱ストレス時の核膜孔複合体の品質管理2023

    • 著者名/発表者名
      清水翔太、清水直樹、山田龍明、木村洋子
    • 学会等名
      第15回日本臨床ストレス応答学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 出芽酵母における浸透圧ストレスによる熱耐性獲得機構の解明2023

    • 著者名/発表者名
      大場由美子、加藤拓、只見秀代、木村洋子
    • 学会等名
      第46回日本分子生物学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 熱ストレスによる酵母液胞の形態と機能変化の解析2023

    • 著者名/発表者名
      清水耀介、木村将文、木村洋子
    • 学会等名
      第46回日本分子生物学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 出芽酵母におけるユビキチン・プロテアソーム系による核膜孔複合体の品質管理2023

    • 著者名/発表者名
      清水翔太、清水直樹、服部里菜、木村洋子
    • 学会等名
      第46回日本分子生物学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 持続的熱ストレス時の核膜孔複合体の品質管理2023

    • 著者名/発表者名
      清水翔太、清水直樹、服部里菜、木村洋子
    • 学会等名
      第46回日本分子生物学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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