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イネの主要な3種類のスターチシンターゼの二重変異体を用いた澱粉鎖長制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K05150
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分38060:応用分子細胞生物学関連
研究機関秋田工業高等専門学校

研究代表者

クロフツ 尚子  秋田工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (30583330)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
キーワードイネ / 澱粉 / アミロペクチン / スターチシンターゼ
研究開始時の研究の概要

アミロペクチンの枝は隣り合った鎖が二重螺旋構造を形成する。アミロペクチンの枝が長くなると螺旋が長くなり、螺旋をほどく(糊化する)ためにより高い温度が必要となる。また、螺旋が長くなると再会合(老化)しやすくなり、その結果、消化酵素によって消化されにくい構造になると考えられる。一方で、極端に短い枝が多いと可溶性のフィトグリコーゲンとなり、光合成産物の蓄積量が減少し、不稔や収量の激減につながる。
「不稔にならず、種子に十分量の澱粉を蓄積できる最短のアミロペクチンの枝の長さは?」、「そのような澱粉を蓄積するためにはどのようなSSアイソザイムの組合せが必要か?」といった澱粉構造制御機構の詳細を明確にする。

研究実績の概要

澱粉の主成分であるアミロペクチン鎖を伸長する3種類の主要なスターチシンターゼ(SSI・SSIIa・SSIIIa)の役割と相補作用を明確にし、(1) 澱粉の蓄積に必須なSSアイソザイムはどれか、(2) どのSSアイソザイムがどのような構造のアミロペクチンを形成し、その結果、食味や消化性にどのような変化をもたらするのかを明らかにする。そのため、2023年度は以下の3種類の各SSアイソザイムが欠損したイネ二重変異体を育成し、その完熟種子を用いて澱粉構造解析を行った。
先行研究ではSSIとSSIIIaが欠失し、SSIIaの活性が低下すると不稔になったが、本研究で育成したいずれの二重変異体も稔実したことから、SSI・SSIIa・SSIIIaのいずれかが種子の形成に必須であることが明らかになった。また、各二重変異体の澱粉構造解析より以下のことが考えられる。
①SSIのみが活性をもつss2a ss3aはアミロペクチン短鎖(DP8-12)が増加し、長鎖(DP>30)が減少した。これは、枝作り酵素が形成したDP6-7の分岐鎖をプライマーとして、SSIがDP8-12へ伸長したことを示唆している。また、アミロペクチン長鎖が大幅に減少していたことから、野生型ではSSIIIaが主に担う長鎖合成の一部をSSIIaが相補している可能性が考えられる。
②SSIIaのみが活性をもつss1 ss3aはアミロペクチン短鎖(DP7-10)が減少し、DP12-24が増加した。このことからSSIIaはSSIの働きを相補し、枝作り酵素が形成した枝をプライマーとして伸長することが可能であると考えられる。
③SSIIIaのみが活性をもつss1 ss2aはアミロペクチン短鎖(DP6-8)が増加した。このことから、SSIIIaは枝作り酵素が形成する短い枝を伸長することができないと推測できる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2023年度は洪水に見舞われ、登熟期間が酷暑であったが、最終年度の食味官能試験に必要な種籾を確保することができたから。
また、当初計画した通り、澱粉構造解析も行うことができたから。

今後の研究の推進方策

極端な高温は澱粉構造にも若干影響することが知られているため、当初の計画通り2024年度も澱粉構造解析を行い、環境的要因とSSアイソザイムの欠失による影響を明確にする。
2023年度は洪水や酷暑により澱粉構造に影響した可能性があるため、2024年度に得られた結果と大きな差異が見られた場合には2025年度も澱粉構造解析を行う予定である。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (10件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (10件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)

  • [学会発表] お米の成分育種:澱粉構造の観点から2023

    • 著者名/発表者名
      1)令和5年度 日本応用糖質科学会東日本支部シンポジウム
    • 学会等名
      日本応用糖質科学会東日本支部
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 澱粉粒形態の異なる粉質米突然変異系統の選抜および原因遺伝子の同定2023

    • 著者名/発表者名
      山本湧太,伊藤浩之,クロフツ尚子,姜東鎮,濱田茂樹
    • 学会等名
      第14回 日本応用糖質科学会東北支部会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 米の澱粉構造に着目した難消化性澱粉(RS)含量の制御2023

    • 著者名/発表者名
      クロフツ尚子,渡邊洸,三浦聡子,保坂優子,追留那緒子,藤田直子
    • 学会等名
      第72回 日本応用糖質科学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 胚乳澱粉生合成に重要なスターチシンターゼ (SS)IIa と澱粉粒結合型 (GB)SSI のそれぞれ3 つの遺伝子型の組み合わせが異なる9 系統のイネの解析2023

    • 著者名/発表者名
      中野月音,三浦聡子,追留那緒子,クロフツ尚子,藤田直子
    • 学会等名
      第72回 日本応用糖質科学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] イネの二つのアミロース合成酵素(GBSS)を欠損させると,澱粉は完全にアミロースフリーになる?2023

    • 著者名/発表者名
      藤田直子,阿久津帆乃香,三浦聡子,森田隆太郎,クロフツ尚子
    • 学会等名
      第72回 日本応用糖質科学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ゲノム編集変異体を用いたイネスターチシンターゼ(SS)IVa の機能解明2023

    • 著者名/発表者名
      三浦聡子,小熊七海,森田隆太郎,クロフツ尚子,藤田直子
    • 学会等名
      第72回 日本応用糖質科学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ダイズ子葉に蓄積する澱粉の発芽温度依存的な結晶構造決定の分子メカニズムに関する研究2023

    • 著者名/発表者名
      森田隆太郎,大塚眞二郎,鈴木陸太,陳国鵬,三浦聡子,クロフツ尚子,青木直大,藤田直子
    • 学会等名
      第72回 日本応用糖質科学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 開花時期が米の澱粉構造と収量に与える影響2023

    • 著者名/発表者名
      クロフツ 尚子,晴山 海斗,三浦 聡子,保坂 優子,追留 那緒子,藤田 直子
    • 学会等名
      第41回 種子生理生化学研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] From combining defective starch biosynthetic enzymes to breeding for practical applications in rice2023

    • 著者名/発表者名
      Naoko Crofts
    • 学会等名
      Starch Round Table 2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Analysis of leaf sheath starch structure in starch branching enzyme (BE) double mutant rice lines.2023

    • 著者名/発表者名
      Satoko Miura, Naoko Crofts, Ryutaro Morita, Yuko Hosaka, Naoko F. Oitome, Misato Abe, Naoko Fujita
    • 学会等名
      Starch Round Table 2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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