研究課題/領域番号 |
23K05161
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39010:遺伝育種科学関連
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山本 雅也 東北大学, 農学研究科, 准教授 (70732543)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
キーワード | 自家不和合性 / 高温耐性 / ブラシカ / シロイヌナズナ / タンパク質立体構造予測 / 細胞内局在 / アブラナ科 / 受容体キナーゼ / 形質安定性 |
研究開始時の研究の概要 |
アブラナ科植物の自家不和合性は、S遺伝子座にコードされる複対立遺伝子産物である柱頭因子SRKと花粉因子SCRのアリル特異的相互作用により起きる。自家不和合性の程度(強度)には高低があり、高程度系統では高純度なF1品種採種に有用であり、低程度系統では育種母本やF1品種採種時の親株の採種が簡便になる。そのため、自家不和合性程度の制御技術の確立はアブラナ科野菜の育種・採種において有用である。これまで自家不和合性程度が低下する系統や変異は報告されているが、自家不和合性程度を高くする変異は報告されていない。そこで本研究では、SRK遺伝子に変異を導入し、自家不和合性程度が向上したアブラナ科植物を作出する。
|
研究実績の概要 |
ColabFoldで予測したA. lyrata SRKb立体構造モデルをもとに、分子表面に露出している疎水性アミノ酸残基を10箇所選抜した。選抜したアミノ酸残基を疎水性度が低下するアミノ酸残基に置換した変異AlSRKbを発現する形質転換シロイヌナズナを作製した。まず作製した形質転換シロイヌナズナの通常時の自家不和合性表現型を自家受粉時の花粉管数で解析したところ、すべての変異AlSRKbで自家不和合性能力を持つことが示され、変異によって自家不和合性能力を欠損しないことを確認できた。続いて、作製した形質転換シロイヌナズナの蕾からタンパク質を抽出して、N結合型糖鎖切断酵素であるendoglycosidase Hを用いて細胞膜局在率を解析した。結果、作製した10種類の変異AlSRKbのうち2種(変異体Aと変異体B)に関して、細胞膜に局在する変異AlSRKbの割合が本研究で使用した変異AlSRKbと比較して増加していた。 変異体Aを発現する形質転換シロイヌナズナに関して、高温時の自家不和合性表現型と変異AlSRKbの細胞膜局在率を解析した。結果、変異体Aを発現する形質転換シロイヌナズナは高温時も自家不和合性能力を維持していた。また、高温処理による細胞膜に局在する変異AlSRKbの割合の低下度合いは野生型AlSRKbと比較して少なかった。 これらの結果から、変異を一箇所導入することで通常時の細胞膜局在率が増加する変異AlSRKbが2つ作成できるとともに、高温時も安定的に自家不和合性能力を発揮できる変異AlSRKbが1つ作製できた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
1年目において、高温時も安定的な自家不和合性能力を維持する変異AlSRKbが作製できたため、当初の計画以上に研究が進展できると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
高温時も安定的に自家不和合性能力を発揮できる変異AlSRKbを作製できた。得られた変異体の情報をもとに、さらに変異AlSRKbを作製を行い、安定的に自家不和合性能力を発揮するために必要なアミノ酸変異の特徴を明らかにすることを目指す。 また、本研究ではAlSRKbの受容体ドメインに注目していたが、キナーゼドメインにも注目し、今後は研究を行う。
|