研究課題/領域番号 |
23K05172
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39010:遺伝育種科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター |
研究代表者 |
許 東河 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 生物資源・利用領域, 主任研究員 (90425546)
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研究分担者 |
朴 チョル 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 生物資源・利用領域, 任期付研究員 (00886913)
本間 香貴 東北大学, 農学研究科, 教授 (60397560)
田島 亮介 東北大学, 農学研究科, 准教授 (60530144)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ダイズ / 主根 / 側根 / 遺伝的機構 / 成長 |
研究開始時の研究の概要 |
根は植物の成長に必須である水と栄養分を土壌から吸収する重要な器官である。発達した理想的な根系の形成は、土壌生育環境への適応性を改善するため、作物生産を向上させるには不可欠である。ダイズの根系は、主根と側根に構成され、それぞれがダイズの成長において重要な役割を果たしている。しかし、ダイズの主根と側根の成長を制御する遺伝的な機構については未知の点が多い。本研究では、主根・側根の成長に関連する遺伝子座並びに候補遺伝子の同定、候補遺伝子の機能解析、主根と側根間の成長の関係などの研究により、ダイズの主根・側根の成長を制御する遺伝的な機構を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究では、異なる根系形質を示したダイズ遺伝資源に由来する各種の交雑分離集団を用いて根系形質に関連するQTLを検出した。具体的には、既存の「Fendou 16 × K099」に由来するF6世代の組み換え近交系統(RIL、n = 94)集団と「Jackson × JWS156-1」に由来するBC4F6世代の染色体断片置換系統(CSSL、n = 123)集団を用いて、水耕法により根系形質(主根長、側根数、根体積、根端数、総根長、総根バイオマスなど)の評価を行った。側根数、根体積、根端数、総根長の測定など形質の測定は根画像解析装置WinRHIZOを用いて行った。また、DNAマーカーと次世代シーケンス解析(GRAS-Di)を行い、より高密度遺伝連鎖地図を作成し、ダイズ根系形質に関連するQTL解析を行った。QTL解析には、IciMappingソフトウェアを用いて行った。 QTL解析の結果、「Fendou 16 × K099」のRIL集団において、第6、7、11、14、15、19染色体上に計10個の根形質QTLが検出された。そのうち、第7染色体に上に座上する根長および根端数に連鎖するQTLは、異なる生育環境条件下でも検出され、寄与率は15.92~27.24であり、効果の大きい主要な根形質QTLであった。 また、Jackson × JWS156-1」に由来するCSSL集団において、第1、12、17、18染色体上に計5つの根形質QTLが検出された。これらのQTLの寄与率は7.29~17.88%であった。第18染色体上に座上する根長QTLでは、野生ダイズ(JWS156-1)の対立遺伝子が増加効果を示した。一方、他の4個のQTLでは、栽培ダイズ(Jackson)の対立遺伝子が増加効果を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ダイズ根長形質QTL解析について、2つの雑種分離を用いて根長に関連するQTLを検出した。具体的には、「Fendou 16 × K099」のRIL集団において、第6、7、11、14、15、19染色体上に計10個の根形質QTLが検出された。そのうち、第7染色体に上に座上する根長および根端数に連鎖するQTLは、異なる生育環境条件下でも検出され、寄与率は15.92~27.24であり、効果の大きい主要な根形質QTLであった。 また、Jackson × JWS156-1」に由来するCSSL集団において、第1、12、17、18染色体上に計5つの根形質QTLが検出された。これらのQTLの寄与率は7.29~17.88%であった。第18染色体上に座上する根長QTLでは、野生ダイズ(JWS156-1)の対立遺伝子が増加効果を示した。一方、他の4個のQTLでは、栽培ダイズ(Jackson)の対立遺伝子が増加効果を示した。 本研究で得られた知見は、今後の研究課題においてダイズの根の成長を制御する遺伝的な機構の研究の推進に活用できる。これらのことから、本研究はおおむね順調に進展していると認める。
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今後の研究の推進方策 |
1.根の成長を制御する候補遺伝子の同定。大規模な交雑分離集団の解析により同定されたQTLをさらに絞り込む。また、戻し交配やResidual Heterozygous Lines法を利用して根長QTLのNILsを作成し、QTLの効果を確認するとともに、次世代シーケンサー技術(RNA-Seq解析)を用いて遺伝子の網羅的な解析を行う。加えて、公開されたダイズのゲノム情報を活用して、候補遺伝子を選定する。 2.候補遺伝子の機能解析。同定した候補遺伝子の発現量解析を行う。根長のNILsおよび元親品種系統を用いて、主根、側根、茎、葉など異なる器官において候補遺伝子の発現量を解析し、異なる根系形質を示したダイズ系統における遺伝子発現のパターンを比較し、候補遺伝子の機能を明らかにする。 3.ダイズのゲノム編集系統あるいは形質転換系統の作成と遺伝子の機能検証。ダイズのゲノム編集系統を作成し、目的遺伝子をノックアウトして候補遺伝子の機能を検証する。
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