研究課題/領域番号 |
23K05179
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39010:遺伝育種科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
田中 剛 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 基盤技術研究本部, 上級研究員 (70414919)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | コムギ / 同祖遺伝子 / 品種間多型 / ゲノム育種 / 比較ゲノム |
研究開始時の研究の概要 |
次世代シーケンス(NGS)技術の革新によってゲノム育種が加速している。しかし、パンコムギなどの高次倍数性植物におけるマーカー開発は、品種間多型と同祖遺伝子間多型が区別できず、2倍体のモデル植物で開発された育種技術の活用ができない。本研究では、分子進化解析手法を用いた、品種間多型と相同遺伝子間多型を区別する手法開発と、検出された品種間多型からマーカーを迅速に構築するシステム開発を実施する。
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研究実績の概要 |
コムギ遺伝子配列比較を実施するにあたって、解析サーバの構築を実施した。Linuxサーバを購入し、解析に必要なソフトウェアのインストールと解析に必要なゲノム配列情報・遺伝子アノテーション情報等をまとめて最新版を取得した。これまでに用いていた各種情報の更新版が存在していたことから、行った作業である。構築完了後に、遺伝子多型検出解析フロー構築の検討を行った。特にコムギの場合はゲノム配列が17Gbとヒト(3Gb)の6倍近くあり、通常利用可能な解析ソフトウェア(picard.jarなど)が利用不可能であったことから、ゲノム配列全体・ゲノム配列分割・特定の遺伝子領域(~500遺伝子程度)に関して、品種間データが次世代シーケンス(NGS)情報として、利用可能なものを活用して評価を実施した(公開・非公開含む)。また、スパコンシステムを活用した、高速多型検出手法も同時に検討を実施した。結果として、イネ等で用いてきた解析手法ではゲノム全体の多型検出は困難であることが判明し(1品種につきx20のデータを超える場合)、利用する解析ツールをgatk4からbcftoolsに変更することにした。 コムギパンゲノムを用いた解析では、すでに15品種ほど参照ゲノム程度の品質の配列情報がEnsemblPlantsより取得可能であったが、遺伝子情報の利用効率等を検証した結果、10品種のデータを用いることにした。相同性検索手法を用いて同祖遺伝子セットを構築し、まず1000程度の全生物種が同祖遺伝子を持つ遺伝子グループを作成した。アラインメントを作成し、突然変異箇所を同定したが、アミノ酸レベルでの差異は数が少なく、現在塩基レベルでのアラインメントを作成しているところである。また、非公開の農業関連遺伝子セット(~500程度)を用いた品種間多型情報が利用可能であることから、今後遺伝子レベルでのアリル情報解析を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度購入の解析サーバのセットアップと解析に用いるデータセットの準備が完了し、また解析の流れ(手法)についてもほぼ完成した。また、スモールスケールの完全保存データセット(品種間+同祖遺伝子間)による1次再解析(科研費取得までの試行を基に再解析を行った結果)が完了しており、計画通りである。当初想定していなかった品種間・同祖遺伝子間のアリル情報比較という検討を2年目前半に行う計画が加わったが、研究全体の流れに支障が出るものではない。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の1次解析結果をもとに、より包括的な品種間・同祖遺伝子間多型の区分を行う技術を開発する。また、今年度更新を計画しているゲノム配列ウェブ解析システム”Galaxy/NAAC”の更新が今年度計画されているので、完了後にコムギ多型検出解析フローを構築する計画である。 初年度末に、農業上重要遺伝子群のNGSデータ(非公開)を得ることができたことから、1塩基多型ごとの解析ではなく、遺伝子全体の評価法を検討していくことを計画に新たに追加する予定である。
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