研究課題/領域番号 |
23K05185
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39020:作物生産科学関連
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
小葉田 亨 島根大学, その他部局等, 名誉教授 (60186723)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | イネ / コムギ / 塩濃度 / Naイオン / Clイオン / 耐塩性 / インキュベーション / 塩分別性 / 塩耐性 |
研究開始時の研究の概要 |
イネとコムギの塩害による収量低下の大きな原因は葉身の同化抑制である.本研究は葉身の同化塩耐性を①土壌から葉身に至る塩の移行経路の器官での塩集積による葉身への低塩移行性,②塩濃度に対する葉身の同化塩耐性の二つの機能から明らかにする.しかし,これら二つの機能を多様な品種,系統,遺伝型について斉一な条件で評価,比較することは極めて困難であるため同化機能と密接に関連した緑葉維持能力(Stay green)評価のためのリーフ(葉片)インキュベーション手法を改良・発展させ,イネとコムギの①葉身への低塩移行性と②葉身の同化塩耐性を効率的に比較,選抜するための新しい研究手法の開発をおこなう.
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研究実績の概要 |
従来耐塩性の異なると見なされる6品種の葉片塩濃度反応と塩水灌漑下での葉への塩の取り込みを測定した。耐塩性弱のコシヒカリ、耐塩性強のNonabokuraとIR64、コシヒカリにNanobokuraとIR64の遺伝子断片を導入した同質遺伝系統SL506とSL2007,インデイカの塩感受性品種IR29を使用した。短日要求度の高いNanobokuraは日長処理した。 8Lのポットに湛水栽培して穂揃い期に止め葉中央部を20℃暗黒下で0,10,20,30 mMのNaCl溶液に浸けて、一週間インキュベートした。その結果、全ての品種で培地塩濃度が高くなるほどSPAD値が低下する傾向があったものの、SL506SLとSL2007では低下が少ない傾向にあった。さらに塩濃度を広げて確認する必要があった、 0.5Lのポットに主稈と強勢な分けつ3本を残し湛水条件で栽培した。穂揃い期からポットを0、25、50、100 mMの水に浸けた。穂揃い後20日に止め葉を採取し、葉身先端から基部までSPAD値を測定後、葉全体から直径5mmのディスクを5枚打ち抜きバイアルに入れた後、80℃で乾燥後、無イオン水を加えて95℃で5分加熱してイオン抽出した。液のNa、Cl、Kイオン濃度をイオンメーターで測定後単位葉面積当たりのイオン量を求めた。その結果、60 mM位まで土壌塩濃度が増加してもIR29を除いて塩濃度はほとんど増加しなかった。それ以上の濃度でNonabokuraのNaイオン濃度の増加は最も少なく、IR64が最も大きかった。ただし、IR29では高い塩濃度ではそれほどイオン濃度が高くなかった。他の品種はこれらの中間であった。このことから土壌塩類濃度をさらに高い範囲に広げて反応を見る必要があった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
イネにおける実験計画は概ね達成できた。ただし、植物体全体の葉身の緑葉維持状態の測定は計測が混み合い十分対応できず手法を改良して次年度実施を計画している。コムギにおける葉身インキュベーションのための実験準備、現地調査について栽培と調査準備を依頼しており次年度において実施予定である。
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今後の研究の推進方策 |
イネにおいて葉身インキュベーションと灌漑水の塩濃度をさらに広い範囲に広げて実施し、品種間差の安定性を明らかにすると共に、多品種の測定のために品種特性を最もよく発現する塩濃度を特定する予定である。画像解析による葉身の緑葉状態の観察を試みる。また、コムギについてはトルコ共和国アダナ市チュクロバ大学農学部の圃場において現在栽培依頼しており葉身インキュベーションを実施すると共に、近隣の塩害値におけるコムギの土壌塩類濃度、葉身の塩濃度の現地調査を行う予定である。
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