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ハダカムギの硝子質粒発生に関する機作の解明と小変異低硝子質化への栽培技術の提案

研究課題

研究課題/領域番号 23K05187
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分39020:作物生産科学関連
研究機関愛媛大学

研究代表者

荒木 卓哉  愛媛大学, 農学研究科, 教授 (10363326)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
キーワードハダカムギ / 硝子率 / 晩播 / 窒素分施 / 収量 / 子実含水率 / 茎数 / 窒素吸収
研究開始時の研究の概要

ハダカムギは品質評価項目の一つである硝子率が高いこととその不均一性が課題である.高い硝子率は搗精時間を要しコスト増となり,不均一性は搗精にばらつきを招く.本研究ではこれらの課題を解決するために分げつを少なくし,開花期間を短縮させ,高均一性で低い硝子率への改善を図る.その際,出穂30日以降の硝子質程度を子実着生位置ごとに形態学的および生理生態学的手法により,また,出穂後の気象要素と硝子質粒発生との関係を解析し,硝子質粒発生の機作を明らかにする.また,個体内の穂数と開花期間との関係から硝子率均一程度の改善に向けた指針を得るとともに,分げつ低減に伴う新たな高収量高品質ハダカムギの栽培技術を提案する.

研究実績の概要

採択1年目は,硝子質粒の発生機作について栽培圃場および細胞レベルで解析を行うとともに,遅まきにおける高位安定収量を実現するための窒素分施体系について検討した.
硝子質粒は開花の遅い分げつから多く発生した.水噴霧処理はそのタイミングにより硝子率への影響が異なり,子実含水率が高い開花後35日では子実は硝子質粒となったが,子実含水率が20%以下となった開花後40日以降は,噴霧により子実が粉状質化し,硝子率は低下した.したがって,開花の遅れに伴い降雨時の含水率が高く,粉状質化しなかった子実が硝子質粒になると推察された.成熟期の硝子質胚乳は粉状質胚乳と比較して,デンプン粒の占有比率に違いは見られなかったが,タンパク質の占有比率が高く,空隙率は低かった.また,登熟期におけるタンパク質の占有比率と,成熟期におけるタンパク質の占有比率との間には正の相関関係が認められた.したがって,登熟期のタンパク質蓄積量が少ない胚乳細胞は,吸水により空隙を生じ粉状質胚乳を形成するが,タンパク質の蓄積量が多い細胞は,空隙を生じにくいために硝子質胚乳を形成すると推察され,タンパク質含有率が高い子実ほど降雨後に半硝子質粒になると考えられた.
晩播は,播種量を増やした11 g区および分げつ期の重点施用に追肥量を増やした中間区において,穂数の増加は認められなかった.穂肥を重点施用した穂肥区では,穂数の増加が認められたが,細麦率が高くなったため,収量増加は認められなかった.実肥施用による穂数への影響はみられず,実肥区および無穂肥区では,細麦率は抑制されため,収量は標播と同程度もしくはやや上回った.これらのことから,出現が不規則な鞘葉分げつおよび出現の遅い高位節分げつの成長に伴うによる収量性改善の向上の可能性が示唆された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の目的は,個体あたりの分げつを抑制し,穂数を少なくする草型改善を行うことで,開花期間を短縮させて,硝子率を低くかつばらつきを小さくすることである.また,この草型改善に付随して,高収量安定生産のための新たな栽培技術も併せて提案することである.採択1年目において,硝子質粒になりやすい条件として,開花からの経過時間が関係していること,成熟時期直前の子実含水率が低下していること,子実タンパク質含有率が高いことを明らかにした.これらの成果は,研究計画通りに実施した成果である順調に進んでいるものである.
また,遅まきの高位安定収量に関する栽培技術については,研究計画に従って,異なる窒素分施体系と異なる播種量を組み合わせた条件を設けて実施ししており,今後の件きゅを展開するための重要な成果を得られていることから,順調に進んでいる.

今後の研究の推進方策

本研究は,圃場において試験栽培した実験材料を用いての研究である.圃場試験は,作期ごとの気象条件の違いを考慮に入れた解析が重要であることから,少なくても2回は繰り返し実施する必要がある.そので,採択2年目は1年目と同様の試験区を設け,年次変動を考慮して解析を進めたい.

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (8件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件)

  • [雑誌論文] 原麦透過率を利用したハダカムギにおける非破壊硝子率判定法の検討2023

    • 著者名/発表者名
      畠山友翔・原口晃輔・松井菜奈・荒木卓哉
    • 雑誌名

      日本作物学会紀事

      巻: 92 号: 3 ページ: 220-229

    • DOI

      10.1626/jcs.92.220

    • ISSN
      0011-1848, 1349-0990
    • 年月日
      2023-07-05
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 登熟後期の降雨および子実含水率がハダカムギの硝子質粒発生に及ぼす影響2023

    • 著者名/発表者名
      原口晃輔・松井菜奈・畠山友翔・荒木卓哉
    • 学会等名
      日本作物学会第256回講演会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 実肥施用が遅まきしたハダカムギ品種ハルヒメボシの分げつ構成,収量および収量構成要素に及ぼす影響2023

    • 著者名/発表者名
      松井菜奈・原口晃輔・畠山友翔・荒木卓哉
    • 学会等名
      日本作物学会第256回講演会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ハダカムギにおける粉状質および硝子質胚乳の形成と登熟期のタンパク質蓄積との関係2023

    • 著者名/発表者名
      原口晃輔・三宅真輝・小野みいな・松井菜奈・西森杏奈・畠山友翔・荒木卓哉
    • 学会等名
      日本作物学会四国談話会第60回講演会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 登熟期の気象条件と子実含水率の違いが異なるタイミングで播種したハダカ ムギの硝子率に及ぼす影響2023

    • 著者名/発表者名
      三宅真輝・原口晃輔・小野みいな・松井菜奈・西森杏奈・畠山友翔・荒木卓哉
    • 学会等名
      日本作物学会四国談話会第60回講演会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ハダカムギにおける種々の茎数制限が開花期間と硝子率に及ぼす影響2023

    • 著者名/発表者名
      小野みいな・原口晃輔・松井菜奈・三宅真輝・西森杏奈・畠山友翔・荒木卓哉
    • 学会等名
      日本作物学会四国談話会第60回講演会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 晩播期に異なるタイミングで播種したハダカムギ品種「ハルヒメボシ」の乾 物生産,分げつ構成および収量2023

    • 著者名/発表者名
      西森杏奈・松井菜奈・三宅真輝・原口晃輔・小野みいな・畠山友翔・荒木卓哉
    • 学会等名
      日本作物学会四国談話会第60回講演会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ハダカムギ品種「ハルヒメボシ」における鞘葉分げつの出現特性の解析2023

    • 著者名/発表者名
      松井菜奈・西森杏奈・小野みいな・三宅真輝・畠山友翔・荒木卓哉
    • 学会等名
      日本作物学会四国談話会第60回講演会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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