研究課題/領域番号 |
23K05191
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39020:作物生産科学関連
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研究機関 | 新潟薬科大学 |
研究代表者 |
中野 絢菜 新潟薬科大学, 応用生命科学部, 助手 (90780677)
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研究分担者 |
相井 城太郎 新潟薬科大学, 応用生命科学部, 准教授 (10391591)
鈴木 達郎 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 九州沖縄農業研究センター, グループ長補佐 (00469842)
野田 高弘 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター, グループ長補佐 (70442788)
大塚 しおり 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター, 研究員 (80808361)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 突然変異育種 / ソバ / 顆粒結合性アミロース合成酵素 |
研究開始時の研究の概要 |
多くの穀物において低アミロース性やモチ性等に関わる「顆粒結合性アミロース合成酵素(GBSS)」に関する変異体が作出され、アミロース含有率が栽培環境と密接に関係することが示されてきた。多くの穀物は単一のGBSSアイソザイムから成るのに対し、ソバのGBSSは2つのアイソザイム(GBSSaおよびb)で構成され、他の穀物とは異なるメカニズムでアミロース含有率が制御されている可能性が示されている。 そこで本研究では、GBSSa、b欠損変異体を獲得し、これらの変異体を用いて栽培環境の変動が両アイソザイムの発現やアミロース含有率に与える影響を明らかにする。
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研究実績の概要 |
多くの穀物において、低アミロース性やモチ性等に関わる顆粒結合性アミロース合成酵素(GBSS)に関する変異体が作出され、アミロース含有率は栽培環境に密接に関係することが示されてきた。種子中で発現するGBSS遺伝子は、多くの穀物では1つの遺伝子座にのみ存在するが、ソバでは2つの遺伝子座(GBSSaおよびb)に存在する。そのため、ソバは他の穀物とは異なるメカニズムでアミロース含有率が制御されている可能性がある。 本研究では、ソバGBSSアイソザイムが欠損した変異体を獲得し(GBSSa欠損系統は獲得済み)、GBSSアイソザイムの種類や栽培環境が、アミロース含有率にどのような影響を与えるかを明らかにする。そのために、①GBSSアイソザイム欠損系統の獲得、②異なる栽培環境条件下でのアミロース含有率の分析とGBSS遺伝子発現量解析を実施する。 2023年度は、当初計画通り①を実施した。自殖性ソバ系統に対しEMS処理を施し、M2世代2,304系統について、GBSSb遺伝子をターゲットにした新規アレルの探索をNGS-tillingで実施した。その結果、アミノ酸の性質変化を伴う2つの新規アレルを見出した。その内訳は、ADPグルコース結合領域に1つ、N末端側のエキソン上で1つの新規アレルであった。ADPグルコース結合領域で検出された変異は、シトシンがチミンとなり、プロリン(疎水性)からセリン(親水性)へと性質が大きく異なるミスセンス変異であり、GBSSbの機能に大きな影響を与えていると推察された。これらの新規のアレルについては、その後代系統でサンガーシーケンスを実施し、変異の確認を現在進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通り、GBSSb欠損系統を獲得するために、2,304系統の突然変異集団に対してNGS-tillingによる遺伝子型選抜を実施した。GBSSbの機能低下が期待される2つのミスセンス変異を検出することができ、サンガーシーケンスによる変異の確認は現在実施中である。 以上より、現在までの進捗状況はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度も計画通りに、GBSSb遺伝子をターゲットに、新たな突然変異集団を対象としたNGS解析を実施し、規模を広げることで変異個体の獲得を目指す。GBSSb欠損変異体の獲得後は、既に獲得済みであるGBSSa欠損変異体との交配を実施し、低アミロース個体を作出する。GBSSa欠損変異体、GBSSb欠損変異体、GBSSa・GBSSb二重欠損変異体及び野生型を用いて、異なる栽培環境条件下でのアミロース含有率の分析とGBSS遺伝子発現量解析を実施する。これらによって、ソバにおけるアミロース含有率の制御機構を明らかにする。当初計画では、「GBSSb欠損系統を獲得できなかった場合は、アミノ酸置換等によりGBSSbの発現量が低下した系統を用いて以降の解析を実施する予定である」としていたが、思いがけない成果として、ゲノム編集によりGBSSb欠損変異体を獲得した。当該個体は遺伝子組換え生物して扱う必要があるため野外での栽培は今のところできないが、P1Pの人工気象室にて当該GBSSb欠損変異体とGBSSa欠損変異体を交配し、GBSSa・GBSSb二重欠損変異体の獲得を目指す。
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