研究課題/領域番号 |
23K05206
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39030:園芸科学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
中野 優 新潟大学, 自然科学系, 教授 (00262460)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 花被の展開 / ホトトギス属植物 / ユリ科花き園芸植物 / BクラスMADS-box遺伝子 / 組織学的観察 |
研究開始時の研究の概要 |
ホトトギス属植物では,ほぼ未展開 - 盃状に展開 - 平開 - 反転まで,満開時の花被の展開程度に大きな種間差異がみられる.また,種間雑種の花では,花被が両親の中間の程度に展開する.さらに,ABCモデルに関与するBクラスMADS-box遺伝子を抑制した形質転換体では,花被の展開が抑制される.本研究では,花被の展開程度の異なる種・雑種を材料に用いて,花被展開に関する組織学的観察,Bクラス遺伝子が過剰発現/抑制された形質転換体の作出,Bクラス遺伝子の単離および発現解析,RNA-seq法による花被展開関連遺伝子のスクリーニング等を行い,花被の展開程度を制御するメカニズムの解明を検討する.
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研究実績の概要 |
今年度は,主に以下の3点について検討を行った.①花被の展開に関する組織学的観察:満開時の花被の展開程度の異なる数種のホトトギス属植物において,満開時の花被の向軸側および背軸側の表皮細胞を実体顕微鏡で観察した.その結果,花被が反り返るまたは平開する種では,花被が曲がる部分において向軸側表皮細胞が大きく肥大し,向軸側表皮細胞と背軸側表皮細胞の大きさに著しい違いがみられた.花被が中程度に展開する種では,花被全体を通して,向軸側表皮細胞が背軸側表皮細胞よりもやや大きい傾向がみられた.花被がほとんど展開しない種においては,花被全体を通して,向軸側表皮細胞と背軸側表皮細胞の大きさにほとんど違いがみられなかった.現在,花被の展開をより詳細に観察するため,花被の組織切片を作製中である.②BクラスMADS-box遺伝子が過剰発現/抑制された形質転換体の作出:ホトトギス‘東雲’における2種類のBクラス遺伝子 (DEFICIENS,GLOBOSA) をもとに,それらを単独および合わせて過剰発現するコンストラクト,および それらを単独および合わせて抑制するコンストラクトを作製した.これらのコンストラクトの機能は,シロイヌナズナ (Arabidopsis thaliana) の形質転換により確認した.また,花被が中程度に展開するホトトギス種において,これらのコンストラクトが導入された形質転換体を作出中である.さらに,他のホトトギス属植物において,形質転換に用いるエンブリオジェニックカルスを誘導中である.③BクラスMADS-box遺伝子の単離および発現解析:ホトトギス‘東雲’におけるDEFICIENSおよびGLOBOSAの塩基配列をもとにプライマーを作製し,そのプライマーが広範囲のホトトギス属植物におけるBクラス遺伝子の発現解析に適用できることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初2023年度に予定していた検討項目のうち,①花被の展開に関する組織学的観察 および ②BクラスMADS-box遺伝子が過剰発現/抑制された形質転換体の作出 については,ほぼ予定通りに進んでいる.③BクラスMADS-box遺伝子の単離および発現解析 に関しては,当初は様々なホトトギス属植物においてBクラスMADS-box遺伝子を単離する予定であった.しかし,ホトトギス‘東雲’のBクラスMADS-box遺伝子をもとに作製したプライマーを用いることにより,他のホトトギス属植物においてもBクラスMADS-box遺伝子の発現解析が可能であることが明らかになった.一方,2023年度の問題点としては,夏季の高温によりホトトギス属植物個体がダメージを受け,良好な材料が十分には得られなかった点があげられる.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に行った検討項目の継続として,①花被の展開に関する組織学的観察,②BクラスMADS-box遺伝子が過剰発現/抑制された形質転換体の作出,③BクラスMADS-box遺伝子の単離および発現解析を行う.また,これらに加えて,石川県立大学の高木宏樹博士の協力を得て,④RNA-seq法による花被展開関連遺伝子のスクリーニングを開始する. 2023年度の問題を踏まえて,材料に用いるホトトギス属植物個体の栽培には,十分に注意を払う.
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