研究課題/領域番号 |
23K05209
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39030:園芸科学関連
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
岡田 貴裕 佐賀大学, 医学部, 助教 (30584809)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | マンゴー / 果実 / エリシター / 香気成分 / グリコシダーゼ / 配糖体 / 糖修飾 / 耐病性 |
研究開始時の研究の概要 |
本課題では、アーウィン種マンゴー果皮において化学防御に特化した香気成分(特にモノテルペンアルコール類)の放出制御に関わるグリコシダーゼ群を同定する。また、病害ストレス応答時における果皮の代謝状態、香気成分の貯蔵・放出効率の変動を包括的に調査し、当該グリコシダーゼ群の感染防御機能への寄与を評価する。以上で得られる結果を総合し、糖修飾プロセスを介した香り成分の放出制御メカニズムの生化学的基盤・生物学的意義を検討するとともに、果実の脆弱性に関わる生理的要因を考察する。
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研究実績の概要 |
アーウィン種マンゴーにおいて香気配糖体の糖脱離プロセスを担うグルコシダーゼ遺伝子の推定、およびそのcDNAのクローニングを実施した。研究代表者が保有するトランスクリプトームデータをもとに、登熟下の果実において少なくとも28種類のグルコシダーゼ候補遺伝子が発現していることを推定し、その中から12種類のcDNAをクローニングした。さらに、これらにコードされるタンパク質の機能検討に向け、大腸菌を宿主とする組換え体の発現系を構築した(次年度に実施予定である)。 また、生物的ストレスに対する応答と香気成分の放出機序との関連を検討した。具体的には、ペンタ-N-アセチルキトペンタオース(真菌由来エリシター)またはジャスモン酸を展着剤と共に登熟初期の果実に散布し、これによる香気成分の放出効率およびその組成に対する影響を固相マイクロ抽出-GC/MS分析法で比較検討した。その結果、他の植物種と同様にジャスモン酸がモノテルペンの放出を促進したのに対し、ペンタ-N-アセチルキトペンタオース散布群では顕著な変化は観察されなかった。また当初の予想とは異なり、モノテルペンアルコールに由来する香気配糖体の糖脱離プロセス(遊離型への変換)がエリシター誘導性のシグナルに依存しないことも推定された。これらの事象の分子基盤をRNA-seq解析で検証することとし、対照群およびエリシター処理群の果皮組織よりRNA検体を調製した(次年度にデータを取得予定である)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、グリコシダーゼの機能解析に必要な発現系の構築を完了している。また、生物的ストレス応答時における香気成分の放出変動に関する基礎知見を蓄積している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究では、組換え体を用いた酵素アッセイを実施し、マンゴー果実において香気配糖体の糖脱離プロセスを担うグルコシダーゼを同定したい。また、エリシター処理がグルコシダーゼ候補遺伝子群やテルペノイド合成遺伝子群の発現にもたらす影響を比較検討し、ジャスモン酸処理時に見られたモノテルペン放出促進の分子基盤を総合的に考察する。
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