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性染色体のゲノム進化からみるSilene属植物の性決定機構

研究課題

研究課題/領域番号 23K05226
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分39030:園芸科学関連
研究機関岡山大学

研究代表者

藤田 尚子  岡山大学, 環境生命自然科学研究科, 客員研究員 (50646966)

研究分担者 赤木 剛士  岡山大学, 環境生命自然科学学域, 教授 (50611919)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
キーワード植物 / 性染色体 / XY / 性決定機構 / 雌雄異株 / 雌性両全性異株 / ゲノム進化 / 黒穂菌 / 性決定因子
研究開始時の研究の概要

「性」は動植物を問わず,遺伝子多様性を維持する重要な形質であり,生物の環境適応力を支える原動力のひとつである.性染色体の起源は一対の常染色体とされており,実際にSilene属植物の雌性両全性異株(メスと両性)と雌雄異株(メスとオス)では,常染色体と性染色体には高い構造類似性がみられる.本研究では,雌性両全性異株S. vulgarisと雌雄異株S. latifoliaの全ゲノムシークエンスから,常染色体から性染色体へのゲノム進化を紐解くとともに,両者の性決定機構を解明することで,Silene属種における「性」の変遷を辿る.

研究実績の概要

性染色体は、動植物問わず多くの生物にみられる代表的な性決定機構のひとつである。性染色体の起源は一対の常染色体と考えられており、性決定遺伝子および性的二型を発現する遺伝子などの蓄積により異形化や組み換え抑制が生じ、性染色体が成立したと考えられている。
ナデシコ科Silene属の植物には、性染色体をもつ種と性染色体を持たない種の両方が存在する。性染色体をもつ種として最も研究されているのはヒロハノマンテマ(Silene latifolia)で、XY型の性決定様式をもつ雌雄異株である。他方、Silene属の大半の植物種は、性染色体をもたない雌性両全性異株(両性花とメス)の性表現を示す。雌性両全性異株は、常染色体~性染色体の成立過程における中間的な性表現とされ、雌雄異株の2つの性「オス」と「メス」のうち「オス」は成立していないものの、常染色体上には性染色体と相同性をもつ領域を有し、二通りの性表現「両性花」と「メス」を示すと考えられている。これらの想定のもと、本研究では、雌性両全性異株シラタマソウ(Silene vulgaris)と雌雄異株ヒロハノマンテマ(Silene latifolia)のゲノムを解読し、さらに花芽器官のRNA-seq解析によりオス特異的に発現する遺伝子群を得ることで、Silene属植物における性決定機構の解明を目指している。本年度は、ヒロハノマンテマとシラタマソウのゲノムシークエンスを完了し、これにRNA-seq解析から得られたオス特異的発現遺伝子を照合することで、オス決定因子の候補を絞り込んだ。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

雌雄異株ヒロハノマンテマと雌性両全性異株ヒメシラタマソウの全ゲノムを解読した。これにより雌雄異株のX染色体(280 Mb)Y染色体(450 Mb)の配列を得た。XY性染色体の起源となった常染色体を探索するため、雌性両全性異株と雌雄異株のXY染色体の比較ゲノム解析を行なったところ、雌性両全性異株の複数の常染色体にX染色体と相同性を示す領域が見出された。また、ごく初期の花芽組織からRNAを抽出し、RNA-seq解析により、オス特異的に発現する遺伝子群を得た。これらゲノム情報とRNA-seq解析の結果を照合し、性決定の分子機構解明を目指している。さらに、Silene属植物の共生菌で性表現に影響を与える黒穂菌(Microbotryum lychnidis-dioicae)を利用し、性染色体と性的二型の関係を調べている。

今後の研究の推進方策

雌雄異株ヒロハノマンテマの雄特異的領域(MSY)を同定し、既報のY染色体欠損マッピングと本研究のRNA-seq解析から得られたオス特異的発現遺伝子群を照合することで、性決定候補因子を得る。また、花の性に影響を及ぼす菌(黒穂菌)を利用し、性染色体による遺伝的性決定と性的二型の関係性を検証する。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Fungal hacking of the plant sex-determination pathway via interference with AGL24 in Silene latifolia2023

    • 著者名/発表者名
      Fujita N, Hood ME, Komoda Y, Akagi T
    • 雑誌名

      BioRxiv

      巻: -

    • DOI

      10.1101/2023.08.28.555088

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Rapid and dynamic evolution of a giant Y chromosome in Silene latifolia2023

    • 著者名/発表者名
      Akagi T†, Fujita N†, Masuda K, Shirasawa K, Nagaki K, Horiuchi A, Kuwada E, Kunou R, Nakamura K, Ikeda Y, Ushijima K, Charlesworth D (†equal contribution)
    • 雑誌名

      BioRxiv

      巻: -

    • DOI

      10.1101/2023.09.21.558759

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] AGL24を介した菌による植物の性の乗っ取り2023

    • 著者名/発表者名
      ◯藤田尚子、Michael E. Hood、薦田優香、赤木剛士
    • 学会等名
      日本植物形態学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ナデシコ科黒穂菌によるAGL24を介した植物の性の乗っ取り2023

    • 著者名/発表者名
      ◯藤田尚子、Michael E. Hood、薦田優香、赤木剛士
    • 学会等名
      日本植物病理学会・関東部会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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