研究課題/領域番号 |
23K05251
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39040:植物保護科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
浅井 秀太 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 上級研究員 (30723580)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | エピジェネティック / 植物免疫受容体 / NB-LRR / 植物病原菌間相互作用 |
研究開始時の研究の概要 |
免疫機構の活性化は、同時に植物自身の生育阻害を引き起こすことから、的確に制御される必要がある。これまでの順遺伝学的スクリーニングにより得られた変異体の解析の結果、DNAメチル基転移酵素遺伝子の一つであるMET2のアミノ酸変異(MET2Ha_13-1)により、免疫機構が活性化され矮性を示し、それが細胞内型免疫受容体(NB-LRR)遺伝子の活性制御に起因することを見出していた。本研究では、MET2Ha_13-1変異による恒常的な免疫機構の活性化に伴う矮性表現型の原因遺伝子を同定し、そのメカニズムを明らかにすることで、NB-LRR型受容体の活性制御機構を明らかにする。
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研究実績の概要 |
植物は、病原菌を免疫受容体により認識し、免疫機構を活性化させる。中でも、細胞内型免疫受容体(NB-LRR)による認識を伴う場合、過敏感反応と呼ばれる強い免疫反応を誘導する。免疫機構の活性化は、同時に植物自身の生育阻害を引き起こすことから、的確に制御される必要がある。これまでに、順遺伝学的スクリーニングにより、特定の条件下において免疫機構が活性化され矮性を示す変異体を見出しており、それがDNAメチル基転移酵素遺伝子MET2の一か所のアミノ酸変異(MET2Ha_13-1)により引き起こされていることを明らかにしていた。また、その矮性の表現型は、TIR-NB-LRR遺伝子の発現制御がおかしくなっていることに起因すると考えられた。そこで本研究では、MET2Ha_13-1変異体の解析を通して、新奇の免疫制御機構の解明を目指す。 DNAメチル化解析を行ったところ、MET2Ha_13-1変異体において優位にメチル化レベルに差がみられた遺伝子(DMGs: differential methylation genes)を見出し、12遺伝子がTIR-NB-LRRをコードしていることを明らかにした。その内、MET2Ha_13-1変異体においてRPP4(TIR-NB-LRR)遺伝子領域にCHHメチル化が優位に蓄積していることがわかった。RPP4遺伝子の1stイントロンにT-DNAが挿入されたrpp4変異体を用いた交配実験により、MET2Ha_13-1変異による恒常的な免疫機構の活性化の一部がこのrpp4変異により緩和されることがわかった。rpp4変異体では、TIRドメインをコードする1stエクソンの発現が見られることから、現在、CRISPR-CAS9法によりRPP4 1stエクソンを完全に破壊した株を作製している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ゲノムワイドのDNAメチル化解析の結果を基に、MET2Ha_13-1変異による恒常的な免疫機構の活性化の一部がRPP4遺伝子に依存していることを遺伝学的に明らかにできた。
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今後の研究の推進方策 |
DNAメチル化は、選択的スプライシングに関わることが知られている。そこで、MET2Ha_13-1変異体において、全長mRNAを解読することで、選択的スプライシングを明らかにできるIso-Seqを行う。本解析を通して、DNAメチル化パターンと選択的スプライシングの相関、ならびにスプライシングバリアント毎の発現レベルについて明らかにする。TIR-NB-LRR遺伝子の内、特にRPP4での変化について注目し、解析を進める。上記解析により明らかになるTIR-NB-LRR遺伝子のスプライシングバリアントをクローニングし、免疫機構の活性化を引き起こすかについて確認する。 また、MET2を含めたDNAメチル基転移酵素遺伝子の変異体において、RPP4依存の抵抗性について調べる。
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