研究課題/領域番号 |
23K05293
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39070:ランドスケープ科学関連
|
研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
佐山 浩 関西学院大学, 総合政策学部, 教授 (00600537)
|
研究分担者 |
中島 慶二 江戸川大学, 社会学部, 教授 (00804014)
水谷 知生 奈良県立大学, 地域創造学部, 教授 (40781555)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 国立公園 / 太政官達 / 公園設置 / 日本八景 / 自然風景地 / 保全・利用 / 公園指定 / GHQ / 法律・条令 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、不要不急の事由により停滞したとされてきた戦中戦後の時期の国立公園等自然公園事務に着目する。これまで対象とされてこなかった戦中戦後の時期に特にまなざしを向け、本時期の動きがその後の自然風景地の保全・利用政策の整理の基盤になっていた可能性を探る。そして、当時の公園現場の実態、公園についての理解と期待等の社会背景、自治体や民間の動きを調査研究することにより、その後の自然公園制度の整理の基盤となった事象を明らかにする。また、その時点から60年以上枠組が変化していない自然公園制度の今後の方向性やあり方を検討する。
|
研究実績の概要 |
本研究では(1)1934(昭和9)年から1956(昭和31)年の厚生省国立公園関係セクションにおける国立公園新規指定・拡張についての考え方と準備状況,(2)1934(昭和9)年から1956(昭和31)年の都道府県における自然風景地の保全・利用を目的とした(自然)公園設置の動き,(3)GHQ(General Headquarters of the Supreme Commander for the Allied Powers)による戦後国立公園行政への関与とそれへの対応,の3点について行政機関の一次資料,新聞をはじめとする報道資料等から明らかにすることとしている。 本研究において、2023(令和5)年度に進展が見られた主な事項は次のとおりである。 戦前から戦後の道府県による公園(主に自然や風景を主体としたタイプのもの)設置の動きについては,1930年代に全国で100箇所以上の道府県による「公園」があり,①太政官達に根拠をおいて設置された全て国有地のタイプ,②道府県独自に設定されたタイプのうち国公有地のものと③国公有地以外を含むものと3タイプが併存していたことが明らかとなった。このうち③のタイプのものは1927(昭和2)年春に 東京日日新聞及び大阪毎日新聞が主催して行われた日本八景選出のための投票における地元の活動を中心として公園設置を働きかける動きに直接的に結びついていった例が少なからずみられることが、複数県(佐賀県や広島県)の事例調査により明らかとなった。 また、本調査研究に関わる3名のこれまでの研究から、今後のこの調査研究を進めるうえで欠かせないことは明らかだったことから、平行して2023(令和5)年度、田村剛博士(日本の国立公園の父と呼ばれている)の文献の整理を精力的に行ったところである。田村先生の文献は、書籍から専門誌や機関誌、学会誌に加えて、新聞等多岐に分かることも改めて確認できた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前項の「研究成果の概要」に記したとおり、2023年度は(1)から(3)の基礎資料となる田村剛の文献の整理を精力的に行った。想定では2023年度前半には目途が立ち、この基礎資料を踏まえて、各種研究が進むことが期待されたところであるが、文献は書籍から新聞まで幅広く、また報告書類に至っては保存場所が全国各地に分散しており、想定以上に時間がかかったため。
|
今後の研究の推進方策 |
戦前,戦後の国立公園,道府県立公園の設置の動きとその背景については,新聞報道,自治体保管資料などから継続的に明らかにする。また,1935年頃には,内務省が各府県2ヶ所程度の県立公園に対して,施設整備に国庫補助を行う仕組み(府県公園法)を検討していたことが新聞報道の調査で確認された。これまでの公園史の中で触れられていない事実であり,この戦前の動きを重点的に明らかにする計画である。 2024(令和6)年度以降に田村剛博士の文献整理や現物確認作業等、一通り最終チェックを行う予定である。その後、データベース化を図り、本研究に関わる研究者が所属する関西学院大学、奈良県立大学及び江戸川大学のHPもしくは江戸川大学国立公園研究所の研究機関を通じて、国内外に広く情報を公開・提供する方向で準備を進めているところである。
|