研究課題/領域番号 |
23K05295
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39070:ランドスケープ科学関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
大久保 悟 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, グループ長 (30334329)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2026年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 羽ばたき周波数 / 訪花昆虫 / フーリエ解析 / 高フレームレートカメラ / 羽ばたき速度 |
研究開始時の研究の概要 |
送粉サービスの恩恵は全球作物生産額の約10%にも相当すると推定され、サービス提供生物の保全と持続的な利用が求められている。訪花昆虫の種類や行動は農地内の管理状況だけでなく周辺土地利用の影響を受けて空間的に不均質であることが知られており、局所気象により訪花昆虫の活動は時間的にも恒常的ではない。訪花昆虫の保全と利用を図るには、訪花活動を時間的に細かく、農地内を広くモニタリングし、農地および周辺の景観管理を検討することが不可欠である。本研究は、訪花昆虫の羽ばたきを捉えて即時解析する画期的なシステムを開発し、訪花昆虫の種類と活動数を把握するモニタリング手法に発展させる。
|
研究実績の概要 |
訪花昆虫の羽ばたきを高フレームレートカメラで捉えて即時解析し、果樹園等で訪花昆虫の種類と活動数をモニタリングする手法を開発するために、初年度は主要な訪花昆虫8種群(ミツバチ類、クマバチ類、小型ハナバチ、ハナアブ類、ヒラタアブ類、コウチュウ類、チョウ類)について、訪花前後の羽ばたき周波数を計測した。所属組織内の実験圃場に栽培した緑肥作物でセイヨウミツバチの蜜源としても頻繁に利用される、シロガラシ(アブラナ科)およびハゼリソウ(ムラサキ科)において飛来する訪花昆虫を一秒間に1000から1500フレーム撮影可能な高フレームレートカメラを用いて撮影し、一往復の羽ばたきに要するフレーム数から羽ばたき周波数を求めた。訪花昆虫種群で比較すると、ヒラタアブ類の羽ばたき周波数は大きく、セイヨウミツバチがそれに続く周波数であることがわかった。昆虫種群によって明らかに周波数が違うものがある一方で、150Hz前後にいくつかの種群が固まっており、この場合、周波数の解析だけでは種群の識別は困難なことがわかった。セイヨウミツバチの羽ばたき周波数(200から240Hz)に注目してシロガラシの栽培圃場を広域撮影してピクセル単位で輝度値変化のフーリエ解析したところ、セイヨウミツバチによる訪花行動、訪花数を抽出することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、順調に研究計画を進められている。とくに、今年度予定していた複数の訪花昆虫種群の羽ばたき速度を計測することができた。また、広域撮影動画でのピクセル単位で輝度値変動周波数解析を行うプログラムも作成でき、次年度以降のモニタリングシステムの精度検証に着手できる。
|
今後の研究の推進方策 |
予定通り初年度の計画が実施できたため、予定していた訪花昆虫モニタリングシステムの開発を進め、精度検証に必要なデータ収集を行う。一部の訪花昆虫種群は羽ばたき周波数が近接しており、羽ばたき周波数だけでは種群の識別が困難なことがわかったため、画像の物体検知による訪花昆虫種群の識別も合わせて検討する。
|