研究課題/領域番号 |
23K05297
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40010:森林科学関連
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
白旗 学 岩手大学, 農学部, 助教 (00235756)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2027年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2026年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ウルシコンテナ苗育苗 / 施肥量 / 肥効期間 / 植栽後の初期成長 / 冬季ストレスの保護効果 / ウルシ肥大成長の季節変化 / ウルシ / コンテナ苗 / 施肥 / 山出し後の成長 / 光合成特性 |
研究開始時の研究の概要 |
ウルシの養分利用特性をはじめとする生理生態的特性の研究例はほとんどなく,苗木生産および植栽後の管理にあたって大きな障害となっている。本研究では,ウルシコンテナ苗の施肥試験をおこない,施肥条件が育苗時の成長および山出し後数年間の初期成長に及ぼす影響を,器官内窒素配分,光合成能力,光合成系窒素利用特性を通して調べ,ウルシの栄養利用特性を明らかにするとともに,植栽時の選苗基準を探る事を目的とする。
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研究実績の概要 |
令和5年度は,1.当年生ウルシコンテナ苗の成長におよぼす施肥の影響について,施肥量に加え肥効期間の影響,2.植栽地内で成長差が生じているウルシ植栽地(植栽後4年)でこれまでの成長量におよぼす土壌条件と周囲林分の影響,3.ウルシ成木の肥大成長の季節変化パターン,について検討した。 1.肥効期間の異なる2種類(100日,180日)の被覆肥料をそれぞれ4段階(培土1Lあたり5g,10g,15g,20g)計8処理区(各区60個体)を設定した。その結果,20g/Lの施肥量は過剰の可能性があること,100日タイプの肥効がきれる9月初旬以前の肥料効果が高いことが示唆された。また,当年生苗木の成長においては,施肥量の影響は成長量よりも非同化器官の窒素含有率に強くあらわれる傾向がみられた。 2.植栽後4年間の初期成長に対して,土壌が固い,乾燥しやすいなどの局所的な負の影響はあったが,植栽地全体では南側にあるスギ人工林に近い部分で成長がよい個体が多かった。季節ごとの太陽高度から樹林帯がつくる日陰範囲の季節変化をシミュレーションしたところ,人工林から正の影響を受ける範囲は,成長休止期である秋から春,特に冬の時期の日陰部分と一致しており,この時期における気温の日格差ストレスの緩和や寒風害に対する保護効果が影響しているのではないかと推察された。 3.自記式デンドロメーターを用いウルシ掻き林分においてウルシ成木の肥大成長の季節変化と気象要因を調べた。幹周囲長は6月下旬頃から大きく増加するが,その後7月下旬頃から徐々に増加率が低下,9月以降は増加がほぼ停止しており,これらは初辺,盛辺,末辺の時期と一致していた。各時期の漆液収量や品質(水分量など)は木部肥大成長と密接な関連性があると推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当年生ウルシコンテナ苗の成長におよぼす施肥の影響について,肥効期間の違いも考慮した栽培実験をおこない,当年成長および窒素器官配分に関してほぼ当初の計画通りに進めることができた。また,次年度の2年生苗木に関する研究に必要な苗木数を十分確保できた。光合成能力については,機器の不具合により直接測定することができず,葉の窒素量,クロロフィル量から推測したが,次年度再試験をおこなう予定である。また,今年度の記録的な夏季の猛暑によって,育成に一部影響があった可能性があるが,こちらも再試験の中で検証する予定である。植栽後の立地環境と成長について,適当な試験地が確保できたため,先行して一部実施した。また,ウルシの肥大成長の季節性の把握のため,成木の肥大成長の季節変化について検討をおこなうことができた。以上から標記の自己評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度にえられた結果から,肥料は100日肥効タイプを用いることとする。次年度以降も研究実施計画書に基づいて研究を進めるが,当年生コンテナ苗について再試験をおこない,光合成能力の直接測定を実施し,同化能力に対する施肥の影響を明らかにする。また,植栽後の苗木成長試験について,育成した苗木の一部を山出しし,当初計画していた令和7年からの2年生苗木をもちいた植栽試験に加え,1年生苗木の植栽の可能性をあらたに検討する。
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