研究課題/領域番号 |
23K05306
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40010:森林科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人防災科学技術研究所 |
研究代表者 |
秋田 寛己 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 水・土砂防災研究部門, 契約研究員 (60880820)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 土砂流出量 / LiDAR DEMs / 地質 / 土砂災害 / 侵食土砂量 / 侵食深 / 土壌侵食モデル / WEPP / 土砂流出 / 予測計算 |
研究開始時の研究の概要 |
山地流域では、過去の崩壊や土石流による土砂が斜面下部や河道に貯留されており、降雨に伴う流域スケールでの土砂流出が問題になる。土砂流出を定量予測する手法として、土壌侵食モデルの応用が期待されるが、山地流域への適用例はきわめて少なく、再現性が課題である。その理由として、山地流域での土砂の侵食・堆積の実態把握が難しく、再現性の検証が困難であったと推察する。本研究では、近年に土砂供給のあった山地流域を対象に土壌侵食モデル(GeoWEPP)を応用し、侵食・堆積量の実測データに基づいて再現性に寄与するパラメータを検証することで、土砂流出を広域かつ定量予測する手法を構築する。
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研究実績の概要 |
近年では既往最大を更新し土砂災害の誘因となる降雨の背景として、気候変動による影響が度々議論されている。山地流域からの土砂流出量を広域的に実態把握した研究は少なく、特に地質の違いを議論した事例はほとんどみられない。そこで本研究は、2017年および2019年の豪雨で土砂災害が発生した福岡県朝倉地域と宮城県丸森地域を対象に、災害前後のLP地形データを用いて標高値の変化量を差分計算し、流域面積を0.01、0.025、0.05、0.075、0.1km2の5ケースごとの土砂流出量を求めた。その上で、地質の違いが流域内の土砂流出量に与える影響について崩壊発生密度や崩壊生産土砂量、流域侵食強度といった指標から明らかにすることを目的とした。 災害前後の1m分解能のLP地形データと災害後の空中写真を使用し、ArcGIS Pro 3.0.3を用いて土砂流出量の計算を行った。LP地形データを用いて災害後の標高値を災害前の標高値で減じ、その変化量がマイナスならば侵食、プラスならば堆積と見なした。標高値の変化量を流域ごとに侵食と堆積を集計することで、各流域における侵食土砂量Veと堆積土砂量Vdを計算した。その後、両者の差から一流域あたりの土砂流出量Vを計算した。 いずれの地質グループでも全体的に流域面積が大きくなると起伏比が低下し、土砂流出量が増加するが、地質によってその増加傾向が異なっていた。深成岩類と変成岩類の地質はいずれも崩壊発生密度が大きかった。さらに流域内の崩壊生産土砂量と全侵食土砂量はy=axの一次式で回帰でき、平均的な流域内の全侵食土砂量は崩壊土砂量の約2倍になることから、これらの間には1:2の比例関係があることなどがわかってきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
土壌侵食モデル構築前の流域侵食深の実態を明らかにする段階ではあるが、5地域程度のデータを整理し、数本の論文投稿へ進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画していたGeoWEPPはArcGISのサポート対象外の旧版だけでの動作であったことから、オープンGISのQWEPPの活用へと切り替えることを予定している。複数地域での流域侵食深の実態が明らかになりつつあるので、引き続き、QWEPPを用いた土壌侵食モデル構築を進めていきたい。
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