研究課題/領域番号 |
23K05319
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40010:森林科学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
上村 真由子 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (60444569)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 地球温暖化 / 積雪 / 有機物分解 / ブナ / 菌類 / 細菌類 / DNAコピー数 / アンプリコンシーケンス / 二酸化炭素 / 炭素 / 微生物 / 群集構造 |
研究開始時の研究の概要 |
地球温暖化による積雪減少が森林の有機物分解を促進し、大気への炭素放出を増やすことが懸念されている。特に日本のような比較的温暖な積雪地帯では、積雪減少によって有機物の分解が促進されると考えられるが、野外実験による検証はなされていない。本研究では、多雪地帯の標高の異なる森林で分解実験を行い、落葉と材の分解時に発生する微生物の呼吸速度や落葉と材の重量減少速度が、微生物の種類や現存量の変化を伴いながら、積雪減少に対してどのように応答するのかを明らかにする。最終的には、積雪地帯における微生物要因を考慮した有機物分解モデルを構築し、積雪減少によって生じる炭素放出量の変化予測の精緻化に貢献する。
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研究実績の概要 |
本研究では、多雪地帯の標高の異なるブナの森林で分解実験を行い、落葉と材の分解時に発生する微生物の呼吸速度や落葉と材の重量減少速度が、微生物の種類や現存量の変化を伴いながら、積雪減少に対してどのように応答するのかを明らかにすることを目的としている。 当該年度では、2021年に冷温帯ブナ林の4つの試験地に設置したリターバッグを用いて、2022年と2023年の積雪の前後でサンプルを得て、DNAを抽出し、定量PCR法を用いて、菌類と細菌類のDNAコピー数を定量した。ブナ落葉のリターバッグにおいて、積雪後における菌類と細菌類のDNAのコピー数の増加が観測された。一方で、ブナ材においては一貫した傾向が見られなかった。2022年の積雪前後のサンプルを用いて、アンプリコンシーケンスにより、菌類の群集構造を調べた結果、ブナ落葉については、積雪前後で群集構造が変化し、積雪量が多くなるにつれて変化が顕著になった。一方で、ブナ材については一貫した傾向が見られなかった。OTU数(操作的分類単位)は、落葉、材共に積雪後に減少する傾向が見られた。また、カビといった特定の機能群の相対優占度が積雪前後で有意に変化した。冬季における有機物の分解速度は、冬期の平均地温と積雪日数、菌類のDNAコピー数によって影響を受けることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年に計画していた、2022年と2023年の積雪前後におけるサンプルの回収と、分解速度や呼吸速度の測定が完了した。また、当初計画に記載していなかった炭素、窒素濃度の測定も完了した。また、菌類・細菌類のDNAコピー数の定量も完了した。2022年のサンプルについては、菌類の群集構造解析を完了した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、2022年の分解実験のサンプルの細菌類と2022年と2023年の菌類と細菌類のアンプリコンシーケンスを行い、群集構造を明らかにする。また、微生物によって消費される易分解性炭素の定量を行うことで、分解の初期におけるプロセスを定量的に明らかにし、積雪下における有機物分解過程の定量的なモデル化を目指す。
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