研究課題/領域番号 |
23K05339
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40020:木質科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
藤田 弘毅 九州大学, 農学研究院, 助教 (90264100)
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研究分担者 |
一瀬 博文 九州大学, 農学研究院, 准教授 (00432948)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | スギ / テルペン / テルペンシンターゼ / クローニング / 培養細胞 / テルペン シンターゼ / Cryptomeria japonica |
研究開始時の研究の概要 |
スギは日本を代表する樹種で生産量/材積も特に大きいことから建材目的で物理的性質や 対腐朽性は詳細に調べられている。一方、近年、匂い(心材テルペン)の居住者に対する良好な心理・生理効果も報告されていることから、スギの香り成分は付加価値創造に重要である。ところが、スギの遺伝子情報は公開されているが、匂い関連成分に関するデータベース解析は行われていない。 そこで、主に既存データベースからデータを抽出し、スギの代表的抽出成分の生合成関連遺伝子/酵素を明らかにすることで、品種・環境で特徴的とされるテルペン組成の違いを生化学的観点から解明することを目標とする。
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研究実績の概要 |
スギカルスは、林木育種センター九州育種場のオビ品種スギの枝から誘導した。30日ごとに褐変していない部分をMS培地上に移し継代を行った。実験には継代1週間後のスギカルスを用いた。 1 スギカルスにエリシテーションを行いテルペノイドを測定することにより、テルペンシンターゼの発現がエリシテーションにより誘導されるかを確認した。気層中のテルペノイドをSPMEファイバーに吸着させ、貯蔵されるテルペノイドを溶媒で抽出しGCMS分析に用いることでテルペノイドの分析を行った。 エリシター投与2時間後には気層中にテルペノイドは見られず、24時間後にはオレフィンモノテルペンのマススペクトルを有するピークが5つ確認された。スギカルス中には、エリシター投与0時間後、2時間後、24時間後でジテルペンのマススペクトルを有するピークが2本見られた。 2 スギカルスでスギのトランスクリプトームデータ(CJ3006NRE)ベース中からTPSの可能性が高い配列を検索し、Cupressus lusitanica テルピノレンシンターゼ配列をクエリーとしてクローニングのターゲットとなる候補遺伝子配列を探索し、全長をクローニングできるようプライマーを作成した。エリシテーションを行い、TPSの発現を促進したスギカルス中から、候補遺伝子の完全長cDNAを取得した。エリシテーション2時間後のサンプルをテンプレートとして用いてnested PCRを行った結果、4つのアンプリコンが見られた。モノテルペンシンターゼ、ジテルペンシンターゼ候補遺伝子として異種発現に使用した。大腸菌の発言タンパクのSDS-PAGE結果から配列から想定される6 kDa付近のバンドが確認できたため、目的のタンパク質を取得できたと考えられる。しかしながら、テルペンシンターゼとしての活性を確認で液なかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
カルス中で発現しているテルペンシンターゼはすべてデータベース上でも網羅されていると予想したが、PCRによって検出される確率が予想よりも低く、一部に重なりがない可能性が考えられた。あるいはカルスのエリシテーション状況が不適切だったのかもしれない。何より活性タンパクが今回得られていなかった。科研申請前の予備実験では問題なかった点なので、しっかり見直したい。
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今後の研究の推進方策 |
基本的な方針は間違っていないと思われるので、さらに多くのカルスエリシテーション条件と多くの全長取得用プライマーを用いて候補遺伝子を探索していく。カルスによるRNA提供が実験を迅速に進行させる要因であると予想したが、必要であればスギ樹木から直接mRNAを調整することを検討する。また、タンパク発現では当初予定していた酵母も含むより多くの条件を適用したい。
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