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多様なリグニン前駆物質の木化組織における輸送メカニズム

研究課題

研究課題/領域番号 23K05340
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分40020:木質科学関連
研究機関宮崎大学

研究代表者

津山 濯  宮崎大学, 農学部, 助教 (40786183)

研究分担者 高田 直樹  国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所 森林バイオ研究センター, 主任研究員 等 (90605544)
高野 俊幸  京都大学, 農学研究科, 教授 (50335303)
飛松 裕基  京都大学, 生存圏研究所, 教授 (20734221)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 中途終了 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
キーワードコニフェリルアルコール二量体配糖体 / 能動輸送 / コニフェリルアルコール二量体 / コニフェリントランスポーター / リグニン / 輸送 / トリシン / リグニンダイマー / 配糖体
研究開始時の研究の概要

維管束植物の生育に必須の細胞壁成分であるリグニンは地球上で最も多い芳香核バイオマスであり、木質バイオマスの有効活用に向けてリグニン生合成の精密制御が求められている。しかしリグニン生合成の中で、リグニン前駆物質の輸送メカニズムについては未解明である。本研究では多様なリグニン前駆物質の木化組織における輸送メカニズムを明らかにするとともに、それらの輸送を担うトランスポーターの発見に向けて、候補遺伝子の変異体作出と機能解析を行う。本研究によりリグニン生合成の中で未解明の部分に大きな知見を与え、リグニン生合成の全容に迫る。

研究実績の概要

維管束植物の生育に必須の細胞壁成分であるリグニンは地球上で最も多い芳香核バイオマスであり、木質バイオマスの有効活用に向けてリグニン生合成の精密制御が求められている。しかしリグニン前駆物質の輸送メカニズムについては未解明である。さらに従来から前駆物質として考えられてきたモノリグノールに加え、多様な物質がリグニンに取り込まれることが近年明らかになってきている。本研究では多様なリグニン前駆物質の木化組織における輸送メカニズムを明らかにするとともに、それらの輸送を担うトランスポーターの発見に向けて、候補遺伝子の変異体作出と機能解析を行う。本研究によりリグニン生合成の中で未解明の部分に大きな知見を与え、リグニン生合成の全容に迫る。
ポプラ分化中木部におけるリグニンダイマーおよびリグニンダイマー配糖体の輸送を検証した。様々な構造のリグニンダイマーおよびリグニンダイマー配糖体の有機合成を行なった。ポプラ分化中木部からミクロソーム膜画分を調製し、コニフェリルアルコール二量体およびそれらの配糖体の輸送活性を明らかにした。その結果、コニフェリルアルコール二量体配糖体のATP依存的な輸送活性が見られた。コニフェリルアルコール二量体の輸送活性は見られなかった。また各種阻害剤を用いて、輸送メカニズムを明らかにした。ポプラ分化中木部から得たメタノール抽出物中の様々なリグニン前駆物質の量を定量した結果、シナピルアルコールが最も多く検出された。加えてコニフェリルアルコール二量体およびそれらの配糖体が含まれていることが示された。
リグニン前駆物質トランスポーターの同定に向け、トランスポーター候補遺伝子をタバコBY-2細胞に過剰発現させるコンストラクトを作製した。またトランスポーター候補遺伝子の欠損変異体をポプラで作出し、栽培した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通り、ポプラ分化中木部におけるコニフェリルアルコール二量体およびコニフェリルアルコール二量体配糖体の輸送活性を明らかにした。コニフェリルアルコール二量体は結合様式の違いから3種類(LD1, LD2, LD3)合成し、それらの配糖体(GLD1, GLD2, GLD3)を合成した。それらを基質として輸送実験した結果、コニフェリルアルコール二量体配糖体のATP依存的な輸送活性が見られた。3種類の中で輸送活性はGLD1>GLD2>GLD3と違いが見られた。コニフェリルアルコール二量体の輸送活性は見られなかった。また各種阻害剤を用いて、輸送メカニズムを明らかにした。その結果、GLD1およびGLD3はV-ATPaseおよびH+勾配が関与することが示唆された。一方、GLD2はV-ATPase、H+勾配に加え、ABC輸送体の関与も示唆された。ポプラ分化中木部から得たメタノール抽出物中のリグニン前駆物質の量を定量した結果、シナピルアルコールが最も多く検出された。加えてコニフェリルアルコール二量体およびそれらの配糖体が含まれていることが示された。3種類のコニフェリルアルコール二量体の中ではLD2が最も多く検出された。
リグニン前駆物質トランスポーターの同定に向け、トランスポーター候補遺伝子をタバコBY-2細胞に過剰発現させるコンストラクトを作製した。またトランスポーター候補遺伝子の欠損変異体ポプラを、ゲノム編集により作出し栽培した。トランスポーター候補遺伝子COPAC5およびCAPOAC21のゲノム編集体をそれぞれ2ライン作出に成功し、それぞれ5個体以上を栽培した。

今後の研究の推進方策

木化組織におけるトリシンおよびトリシン配糖体の輸送活性を明らかにする。モウソウチク当年稈からミクロソーム膜画分を調製し、トリシンおよびトリシン配糖体の輸送活性を明らかにする。また、ポプラやヒノキ分化中木部から調製したミクロソーム膜画分も用いて同様の輸送活性を明らかにする。さらに各種阻害剤を用いて、能動輸送メカニズムを明らかにする。
リグニン前駆物質トランスポーター候補遺伝子を、様々な発現解析手法を用いて絞り込む。トランスポーター候補遺伝子の機能解析を行うためのコンストラクトを作製する。候補遺伝子を恒常的に過剰発現するタバコBY-2細胞を作出する。恒常的に過剰発現するBY-2細胞の作出が難しい場合は、発現誘導系の構築も試みる。候補遺伝子過剰発現BY-2細胞が作出できた場合、培養増殖を行ってミクロソーム膜画分を調製し、各種リグニン前駆物質の輸送活性を調べる。
作出した候補遺伝子欠損変異体ポプラの表現型を解析する。茎の組織構造を解析し、リグニン分布を明らかにするとともに、リグニン量を定量する。さらにいくつかの個体を用いて、NMRでリグニン構造の詳細な解析を行う。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Active transport of lignin monomers in lignifying tissues of vascular plants2023

    • 著者名/発表者名
      Taku Tsuyama
    • 学会等名
      16th Cell Wall Meeting
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] ポプラ分化中木部においてリグニンダイマー配糖体は能動輸送される2023

    • 著者名/発表者名
      高橋正海、櫻井沙也佳、津山 濯、雉子谷佳男、矢崎一史、髙部圭司、高野俊幸
    • 学会等名
      第13回トランスポーター研究会九州部会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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