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シロアリ内在性LPMOの機能解析と高効率セルロース糖化システムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 23K05344
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分40020:木質科学関連
研究機関近畿大学

研究代表者

板倉 修司  近畿大学, 農学部, 教授 (60257988)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
キーワードLPMO / termite / Coptotermes formosanus / Reticulitermes speratus / Termite / cellulose / Chitin
研究開始時の研究の概要

シロアリのセルロース分解系には,セロビオヒドロラーゼCBHが存在しないが,エンドグルカナーゼEGのみでセルロースを消化することができる。イエシロアリとヤマトシロアリの全ゲノム解析により各々4種類のLPMO遺伝子の存在が予測された。
イエシロアリとヤマトシロアリのLPMO遺伝子をクローニングし,遺伝子組換え大腸菌で発現させたLPMOタンパク質の結晶性セルロースに対する吸着能,セルロース分子鎖の酸化分解様式,EGとの混合によるセルロース糖化効率の向上効果について明らかにする。得られた知見に基づいて,酵母によるバイオエタノール生産の前工程として機能する高効率セルロース糖化システムの開発を目標とする。

研究実績の概要

シロアリのセルロース分解系には,セロビオヒドロラーゼCBHが存在しないが,エンドグルカナーゼEGのみでセルロースを消化することができる。本研究では,イエシロアリとヤマトシロアリのLPMO(lytic polysaccharide monooxygenase)遺伝子をクローニングし,遺伝子組換え大腸菌で発現させたLPMOタンパク質の結晶性セルロースに対する吸着能,セルロース分子鎖の酸化分解様式,EGとの混合によるセルロース糖化効率の向上効果について明らかにする。得られた知見に基づいて,酵母によるバイオエタノール生産の前工程として機能する高効率セルロース糖化システムの開発を目標とする。
イエシロアリの全ゲノム解析の結果から予測されたLPMO4遺伝子ならびにヤマトシロアリの全ゲノム解析の結果から予測されたLPMO4遺伝子の中から,既報のCoptotermes gestoriのLPMO2遺伝子(MT778998, MT778999)と相同性の高いイエシロアリLPMO2遺伝子(original_scaffold_1107.13, fragScaff_scaffold_8.3)とヤマトシロアリLPMO2遺伝子(Rs005739, Rs007907)を選出した。これらLPMO4遺伝子から得られたcDNAをin fusion反応によりpET-26b(+)プラスミドと融合し,大腸菌BL21(DE3)Rosetta2pLysSの形質転換を行った。IPTG(イソプロピル-β-チオガラクトピラノシド)添加により,大腸菌内で両シロアリの合計4種の内在性LPMOを産生させた。発現LPMOタンパク質のC末端に融合させたStrep-tagペプチドを用いて,StrepTrap HPによるアフィニティークロマトグラフィーで発現LPMOタンパク質の精製を試みた。ビオチンのアナログ化合物であるデスチオビオチンを添加した緩衝液で発現タンパク質の溶出を試みているが,これまでのところ発現LPMOタンパク質が上手く溶出されていない。引き続き,発現LPMOタンパク質の溶出条件を検討している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

イエシロアリとヤマトシロアリの職蟻10匹を用いた。原生生物由来の遺伝子を排除するため後腸を取り除いたシロアリ職蟻のホモジネートから,RNeasy Mini Kit(QIAGEN)を用いてトータルRNAを精製し,ReverTra Ace-α-(東洋紡)を用いてcDNAを合成し,さらにKOD Dash(東洋紡)を用いて目的LPMO配列を増幅した。その後,In-fusion用に調整したプライマーを用いてDNAを増幅し,Nucleo Spin Gel and PCR clean-up(MACHEREY-NAGEL)を用いてPCR産物を精製した。
pET-26b(+)DNAをECOS Competent E.coli DH5α(ニッポンジーン社)に形質転換し,NcleoSpin Plasmid Easy Pure(MACHEREY-NAGEL社)を用いてプラスミドを精製した。プラスミドをPrimeSTAR Max DNA Polymerase(タカラバイオ)を用いてlinearized vector全長を増幅した。その後電気泳動を行い,Nucleo Spin Gel and PCR clean-upを用いてlinearized vectorのみを精製した。PCR産物とpET26b(+) linearized vectorを用いてIn-Fusion SnapAssembly Master Mix(タカラバイオ)でIn-fusionクローニングを行い,プラスミドを精製した。その後,E.coli Rosetta 2 (DE3) pLysS (Novagen)へ形質転換を行った。IPTGによるタンパク質発現誘導を行いSDS-PAGEで目的タンパク質の発現を確認した。StrepTrap HP 1mL(Sigma-Aldrich)を用いてアフィニティークロマトグラフィーを行った。

今後の研究の推進方策

イエシロアリとヤマトシロアリの内在性LPMOと融合したpET-26b(+) プラスミドで形質転換した大腸菌BL21(DE3)Rosetta2pLysSにIPTGを添加し,シロアリ内在性LPMOを産生させる。組換えLPMOタンパク質にアスコルビン酸を添加した際に,過酸化水素が生成されるか調べ,組換えLPMOが大腸菌内で正しくフォールディングされ活性型LPMOとして機能するかどうかを明らかにする。また,Strep-tagを用いてStrepTrap HP 1mL(Sigma-Aldrich)でアフィニティークロマトグラフィー精製したLPMOに含有される銅イオンをICP-MSで定量し,LPMO1分子当たり何個の銅イオンが含まれるか調べる。さらに,精製した発現LPMOタンパク質の結晶性セルロース,キシラン,マンナン,キチンへの吸着能を測定する。精製したLPMOタンパク質を結晶性セルロースに作用させ,生じるセロオリゴ糖を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析し,セロオリゴ糖がC1酸化,C4酸化あるいはC1/C4が同時に酸化されているのか検討する。
精製したLPMOタンパク質をイエシロアリとヤマトシロアリのエンドグルカナーゼと同時に結晶性セルロースに作用させ,セルロースの糖化効率が向上するか検証する。また,精製したLPMOタンパク質をキチンへ作用させ,キチンの重合度が低下するか検討する。これらの実験を通して,シロアリ内在性LPMOタンパク質がセルロ-スの分解あるいは/およびキチンの分解に関与しているか明らかにする。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] イエシロアリ溶解性多糖モノオキシゲナーゼ(LPMO)遺伝子のクローニングと機能解析2023

    • 著者名/発表者名
      濱崎雄翔;梅澤 究;板倉修司
    • 学会等名
      第35回日本環境動物昆虫学会年次大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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