研究課題/領域番号 |
23K05351
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40030:水圏生産科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
黒木 真理 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 准教授 (00568800)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | ウナギ / 分布限界 / 環境応答 / 資源保全 |
研究開始時の研究の概要 |
地球温暖化による水温上昇や海流の変動によって海洋生物の分布域や回遊経路の変化が報告されている。降河回遊魚のウナギ属魚類も例外でない。本研究では、温帯種のニホンウナギの分布北限域と熱帯種のオオウナギの分布北限域において、これらの個体群の生態的特性と生息環境を調べて、それを分布中心部の個体群の知見と比較することで、分布限界域で生残・成長する地域個体群が晒される環境とそれに対する生態的な適応能力を理解する。
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研究実績の概要 |
日本に生息するウナギ属魚類の気候変動への応答を理解するため、日本列島の分布北限に生息するニホンウナギとオオウナギのそれぞれの個体群の生態的特性と生息環境を調べて、それらを分布中心部の個体群の知見と比較することで、分布限界域に生息する地域個体群が晒される環境に対する生態的な適応能力を明らかにすることを目的とした。東アジアの台湾から日本にかけて主要分布域をもつニホンウナギについては、分布北限域の北海道南部の河川および湖沼で調査を実施したところ、様々な体サイズの個体が採集され、年齢解析によって幅広い年級群の個体が生息していることがわかった。さらに、雌雄の大型個体について生殖腺の組織観察を行ったところ、雌雄ともに成熟開始の段階まで発達していた。これらのことから、北海道南部の河口域には恒常的にニホンウナギの稚魚が接岸し、低水温環境に晒される分布北限域の河川や湖沼を成育場として利用し、産卵場の海に向けて降河する準備段階まで生残・成長していることが明らかとなった。インドネシアやフィリピンなどの東南アジアの熱帯域に主要分布域をもつオオウナギについては、分布北限域の大隅諸島の屋久島と種子島の河川で調査を実施したところ、オオウナギはニホンウナギとは流速や河床材料等の環境条件の異なる場所に優占して生息していることが明らかとなった。したがって、オオウナギの分布北限域に位置する屋久島や種子島において、ニホンウナギとオオウナギは同じ河川内の異なる環境で棲み分けして共存しているものと推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ウナギ属魚類2種のそれぞれの分布北限域において野外調査が順調に進み、生物学的な知見を収集できた。とくにニホンウナギの分布北限域である北海道では個体密度が低いために生息状況に関する調査に多くの時間と労力を要するものと想定していたが、当初の予測より多くの個体が生息していることが確認された。次年度以降は、その要因も含めて研究を進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
行動実験や数値シミュレーション実験などの研究アプローチによって、日本列島の分布北限に生息するウナギ属魚類について行動生態学的観点から研究を推進する。
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