研究課題/領域番号 |
23K05354
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40030:水圏生産科学関連
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研究機関 | 倉敷芸術科学大学 |
研究代表者 |
柳下 直己 倉敷芸術科学大学, 生命科学部, 教授 (50434840)
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研究分担者 |
山野 ひとみ 倉敷芸術科学大学, 生命科学部, 准教授 (70811983)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 大陸沿岸性遺存 / 瀬戸内海 / 有明海 / 水産資源管理 / 保全 |
研究開始時の研究の概要 |
特異な魚類相をもつ有明海や瀬戸内海には、大陸沿岸の大きな個体群から分断された小さな個体群を起源とする「大陸沿岸性遺存種」が生き残っているとされている。大陸沿岸性遺存と考えられている魚種には水産上重要なものが多いが、資源の減少が危惧されている。 そこで、本研究では大陸沿岸性遺存と考えられている魚種や、遺存系統が存在する可能性が高い魚種について遺伝的集団構造を推定し、遺存の系統や集団の存在と現在の集団構造の形成過程、および資源の管理単位を明らかにする。これにより、水産資源の管理や保全、および日本を代表する内湾の特異な魚類相形成過程の解明に重要な基礎的情報が得られる。
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研究実績の概要 |
ヒラ,コウライアカシタビラメ,およびセトダイの 3 種について,瀬戸内海や有明海から標本を採集した。これら 3 種について,ミトコンドリア (mt) DNA 調節領域 (CR) 全塩基配列を決定するための PCR プライマーを開発し,塩基配列を決定した。ヒラでは,瀬戸内海から 38 個体,有明海から 46 個体,および八代海から 20 個体を採集した。本種のmtCR 全塩基配列を決定するための PCR プライマーはすでに開発されていたが (Wang et al. 2016),PCRを数回に分けて行う必要があったため,1 度の PCR で全塩基配列を決定可能なプライマーセットを新たに開発した。開発したプライマーセットを用いて,瀬戸内海産 26 個体,有明海産 24 個体,および八代海産 8 個体の全58 個体について,mtCR 全塩基配列 (1146 bp) を決定した。Wang et al. (2016) における中国大陸沿岸の集団の塩基配列データを含めて予備解析した結果,遺伝的多様性(ハプロタイプ多様度)は中国大陸沿岸の集団に比べ有明海産集団で低く,八代海産集団と瀬戸内海産集団でやや低かった。コウライアカシタビラメでは,瀬戸内海から 25 個体と有明海から 30 個体を採集した。本種の mtCR 全塩基配列を決定するための PCR プライマーは開発されていなかったため新たに開発した。開発したプライマーセットを用いて,有明海産 24 個体について mtCR 全塩基配列 (662bp) を決定した。セトダイでは,瀬戸内海から 24 個体を採集した。本種についても mtCR 全塩基配列を決定するための PCR プライマーは開発されていなかったため新たに開発した。開発したプライマーセットを用いて,これら 24 個体の mtCR 全塩基配列 (734bp) を決定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
水揚げ量が少ない等の理由により,標本の入手が遅れている。コイチについては,まだ瀬戸内海産と有明海産の標本を入手できていない。セトダイについては,有明海産の標本を入手できていない。また,ヒラとコウライアカシタビラメを含む全 4 種について,他海域産の個体が入手できていない。全 4 種について,mtCR 全塩基配列を決定するための PCR プライマーの開発に成功しており,標本が入手できれば滞りなくデータ収集することができる。
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今後の研究の推進方策 |
コイチでは瀬戸内海産と有明海産の標本を,セトダイでは有明海産の標本を速やかに採集する。ヒラとコウライアカシタビラメを含む全 4 種について,他海域からも標本を採集する。新たに得られた標本について引き続き mtCR の全塩基配列を決定し,コウライアカシタビラメについてはマイクロサテライト遺伝子座 (SSR) の多型についての分析を開始する。データが揃った種から解析を行い,学会発表と論文出版を行う。
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