研究課題/領域番号 |
23K05371
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40030:水圏生産科学関連
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
土井 航 鹿児島大学, 農水産獣医学域水産学系, 准教授 (70456325)
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研究分担者 |
江幡 恵吾 鹿児島大学, 農水産獣医学域水産学系, 准教授 (10325772)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 資源 / 成長 / ツキヒガイ / カメラ / 画像 / 資源量推定 / 資源管理 / 漁獲効率 |
研究開始時の研究の概要 |
薩摩半島西部海域のツキヒガイとこれを漁獲する小型底曳網漁業を対象に、以下に細分化した学術的問いを設け、その解明のための研究を行う。 A.成長と漁獲(何歳から漁獲の対象となるのか、年齢と拡張・体重の関係、それらと価格の関係はどのように変化するのか) B.漁獲効率(底曳網は生息個体の何%を漁獲しているのか、底曳網に対しどのような逃避行動を示すのか) C.資源量(漁期前にどこにどれだけ分布するのか、漁場はいつどこに形成され、どのような個体がどのくらい漁獲されているのか、漁業情報から資源量推定は可能か) D.経済性を高めた漁獲管理の提案(漁業をどのように管理すれば経済的利益を最大化できるのか)
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研究実績の概要 |
当初の計画では、ツキヒガイを漁獲する底曳網の漁具にカメラを装着して海底の画像を撮影し、画像からツキヒガイの資源尾数を推定することを計画していた。漁具に設置したカメラではツキヒガイの生息密度に関する定量的データの取得が困難であると判断したため、2023年度はホタテガイの資源尾数推定を目的に開発された海底撮影用のそりを参考にしてツキヒガイ用そりを作製した。鹿児島県の吹上浜沖合で試験的な撮影を行った結果、海底画像からツキヒガイの分布を確認することができた。 ツキヒガイの成長データを得るため、鹿児島県日置市の江口漁港に水揚げされたツキヒガイの殻長組成の経月変化を求めるとともに、貝殻の模様を用いて年齢および日齢を査定する方法の開発に取り組んだ。年齢査定については、縁辺成長率の季節的変化を求め、左殻に形成される模様の形成時期について解析を継続中である。日齢査定についても同様に、微細模様を計数しており、日齢査定の可能性について検討中である。また、垂下式のかご、耳吊りを用いたツキヒガイの養殖試験を実施中であり、育成期間前後の殻長の比較を通じて、本種の成長速度を推定している。 本研究には、漁協に保管されているツキヒガイをはじめとする水揚げに関するデータ、撮影用そりの曳網、操業中の位置情報の記録、標本の収集など、漁業者による協力が必要不可欠である。2023年度前半には、漁業関係者が集まる会合において本研究の概要と目的を関係者に説明し、研究協力を依頼した。その結果、本研究を実施するために必要な協力を得るための関係を構築することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では以下のA~Dの項目を計画している。一部の研究項目については、遅れがみられる。 A.ツキヒガイの成長と漁獲:漁獲物の一部をサンプリングし、殻長と体重(殻付・殻なし)、貝殻成長線数を測定した。季節的な成長様式の解析中である。年齢と殻長の関係(age-length key, ALKおよび成長曲線)、市場調査(水揚げ伝票)による銘柄別漁獲量と価格のデータをこれから実施する B.ツキヒガイの漁獲効率:底曳網のヘッドロープ、網口および網内に水中カメラを取り付けて、海底に生息するツキヒガイが底曳網に入網する様子を撮影する予定である。 C.ツキヒガイの資源量推定:①区画法:撮影用のそりを開発し、試験撮影を行った。2024年度に本実験を行う。②DeLury法:操業データ(曳網開始時刻、終了時刻、ツキヒガイの漁獲量)の記録を依頼した。③面積密度法:②と同様に小型GPSによる位置情報の記録を依頼した。④VPA:成長研究によりALKを明らかにした後に実施予定である。 D.経済性を高めた漁業管理の提案:本項は当初から最終年度に実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
漁獲量等の水揚げデータの取得は2023年度中は一部期間のものに限られたが、2024年度早々に可能な限りの期間のデータを取得する。2024年春に水揚げデータ解析、夏に海底画像からの資源量推定、秋に漁網に入網するツキヒガイを撮影する漁獲効率の実験、漁期中に資源量推定のための標本船調査(操業日誌の記録、GPSによる位置情報の記録)を実施する。
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