研究課題/領域番号 |
23K05378
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40030:水圏生産科学関連
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研究機関 | 木更津工業高等専門学校 |
研究代表者 |
岡本 保 木更津工業高等専門学校, 電気電子工学科, 教授 (80233378)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | ノリ / スサビノリ / 光計測 / 赤外吸収 / 蛍光計測 / ラマン分光 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、電子遷移(蛍光計測)と振動遷移(ラマン分光計測)の複合評価によるノリの生育診断法を開発することを目的としている。電子遷移計測は、電子エネルギー準位間の遷移の過程を計測しており、光合成活性の評価として有効である。一方、振動遷移計測は分子振動準位間の遷移の過程を計測しており、分子構造の情報が豊富であり、成分の濃度に敏感である。電子遷移計測と振動遷移計測を同時に行うことができると光合成色素濃度と光合成活性の関係が明らかになるとともに、ノリの劣化初期の診断などに有効な感度の高い診断が可能になると考えられる。
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研究実績の概要 |
今年度は、FTIR(フーリエ変換赤外線分光法)測定を用いて、ノリ内分子構造に応じた吸収スペクトルのデータを取得し、それを基に光合成色素濃度を定量的に評価することが可能かどうかを検証した。 まず、アセトンに浸したスサビノリを用いてFTIR測定を行った。クロロフィル類は水に溶けにくく油に溶けやすい性質を有しており、アセトンなど有機溶媒に溶出することが知られている。そのため、アセトンに浸す時間を長くすることでクロロフィル濃度が相対的に低下していると考えられる。アセトンに浸す時間によりスペクトルが変換していることがわかった。 次に、加熱のためにお湯に浸したスサビノリのFTIR測定を行った。海苔を加熱するとフィコビリン色素が変性し、相対的にフィコビリン色素濃度が減少すると考えられる。今回の実験では、お湯の温度を変えることでフィコビリンの量を変え、その時のスペクトルの変化について調べた。お湯に浸す時間は1分である。温度によりスペクトルが変化ることがわかった。 さらに、FTIR測定用と同様の処理をおこなったノリの蛍光計測を行い、ノリ内色素の変化による蛍光の変化について調べた。加熱温度を上げると、40℃から60℃のときに580nmの点と比べて相対的に650nm~750nmの蛍光強度が減少した。また、80℃から100℃のときには600nm付近の点と比べて相対的に685nm~750nmの蛍光強度が減少した。このように加熱処理による色素濃度比の変化が蛍光計測でも観測できる可能性があることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度はまず、FTIR法により色素濃度比を変化させたノリの赤外吸収スペクトルを測定し、色素濃度比の変化によりスペクトルが変化するという見通しを得ることができた。そのため、おおむね計画通りに進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
FTIR法により色素濃度比を変化させたノリの赤外吸収スペクトルを測定し、色素濃度比の変化によりスペクトルが変化するという見通しを得ることができたので、今後は赤外吸収スペクトルの変化を定量的に評価する方法を検討する。また、ラマン散乱分光法を同様に適用して、色素濃度測定の可能性検証を行う予定である。
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