研究課題/領域番号 |
23K05379
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40030:水圏生産科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人水産研究・教育機構 |
研究代表者 |
山田 徹生 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産資源研究所(横浜), 主任研究員 (10443376)
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研究分担者 |
上原 伸二 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産資源研究所(横浜), 部門長 (00371881)
冨山 毅 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 准教授 (20576897)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 日齢査定 / 初期生活史 / 異体類 / 耳石微細構造 / ヒラメ / 着底日推定 / 耳石日周輪 / 加入量変動 |
研究開始時の研究の概要 |
海産仔魚は内部栄養から外部栄養に切り替わるタイミングで大きな減耗を経験する(Critical period)。異体類では浮遊期から着底に至る過程で形態が劇的に変化し、第2のCritical periodとなり、この過程での生残が年級群豊度に強く影響する。しかし着底日推定技術は確立されておらず、成長や生残に最適な着底期は不明であった。我々はヒラメ耳石を詳細に観察し、耳石の伸長方向が着底によって約90度変化することを見出した。この特性を応用することで、着底タイミングを日単位で推定することが可能となる。本研究では①ヒラメ以外の異体類にも応用可能な着底日推定法の開発、②最適着底期の推定に挑戦する。
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研究実績の概要 |
商業的な重要種であるヒラメの初期生活史の特徴は多数研究されているが、本種の耳石(礫石と扁平石)の毎日の輪紋形成は詳細に研究されていない。そこで飼育されたヒラメ仔稚魚を用いて、耳石の輪紋沈着の日周期性を調べたところ、 礫石と扁平石両方において孵化時半径(約 6 μm)に対応する輪紋が、浮遊仔魚期および着底稚魚期を通して識別できた。耳石輪紋は屈曲期前の仔魚では淡く、屈曲期以後の仔魚では明瞭であった。日齢ごとの輪紋数を回帰分析したところ、礫石では日周輪の沈着が起こるが、扁平石ではそうではないことが示された。アリザリンコンプレクソンの仔魚への二重マーキングにより、礫石の日周期性が確認された。 しかし、初期の淡いリングは孵化後 3 ~ 16 日で礫石の最も内側の領域で観察され、その淡いリングは走査型電子顕微鏡でも識別できないことが多く、日齢推定に支障をきたした。そこで礫石の輪紋が識別できない不明瞭領域に相当する日数を推定するために、個々データの礫石半径(20μm未満に制限)と輪紋数との関係から導出される対数関数を使用した推定方法を開発した。推定誤差は 0.05 ± 2.13 (n = 26、平均± SD) であり、この方法が孵化日推定に有効であることを示す。本研究は、耳石最内部にある不鮮明な狭い輪紋を有する耳石の毎日の増分数を分析する新しい方法を提供する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
温度や餌の入手可能性の変動など、魚が環境要因の大きな変化を受けない限り、天然魚の耳石の成長履歴を合理的に推定できる。さまざまな温度と食料の入手可能性などの条件下で年輪の成長パターンを実験的にテストすることも考えられる。 本年度の研究成果は、今後開発予定の耳石を利用した着底日の推定手法にとって不可欠な基盤的情報となる。
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今後の研究の推進方策 |
沿岸性異体類において耳石の伸長方向が着底によって約90度変化するという我々が見出した特性を応用することで、着底のタイミングを日単位で推定する技術を開発する。 この技術を用い、成育場での稚魚個体群とその後加入成功する個体群との定量的な因果関係を浮き彫りにする。 さらに温度や餌料環境、着底期の異なる個体群間(コホート間)の密度や死亡率、成長率について比較し、加入成功する個体群が成育場稚魚期においてどのような生態的ダイナミクスを経験したかアプローチする。 最終的に、沿岸性異体類において「どの時期に着底するのが最適か」を明らかにする。
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