研究課題/領域番号 |
23K05390
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40040:水圏生命科学関連
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
増田 太郎 摂南大学, 農学部, 准教授 (40395653)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | フェノールオキシダーゼ / ヘモシアニン / 甲殻類 / クルマエビ / 食用甲殻類 / 銅 |
研究開始時の研究の概要 |
フェノールオキシダーゼ (PO)はメラニン形成反応の鍵酵素である。申請者は、既知のPOとは異なり、甲殻類血リンパ液中に恒常的に存在する新規なタイプのPO(POβ)を見出した。本研究では、甲殻類のPO分子種に着目し、生体内での機能と、黒変に対する両者の寄与を明らかにする。更に、精製POを用いてメラニン形成反応の制御・防止を目的とした阻害物質のスクリーニングを行う。食用種における黒変の詳細を明らかにすることで、有害な黒変防止剤の過剰な使用を防ぎ、流通が困難な食用種の有効利用が可能となる。更に、メラニン形成反応の安全な阻害技術は、水産分野のみならず医療、美容分野への応用も可能である。
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研究実績の概要 |
申請者はこれまで、甲殻類ポストハーベストにおける黒変反応の主因となる酵素として、肝膵臓で生合成され体液中に分泌される新規なフェノールオキシダーゼ (PObeta)を見出した。この酵素は、クルマエビ体液中のPO活性本体であり、既知の血球型POと酸素運搬タンパク質・ヘモシアニンのいずれとも異なる一次構造を有していた。 クルマエビ科のエビ類は食品として極めて重要で、国内外を問わず甲殻類の養殖生産の大部分を占めている。本研究では、他のクルマエビ科エビ類と、クルマエビとは分類的に異なる種々の食用種について、体液中のPO活性の主因を探索した。その結果、クルマエビ科エビ類の多く(バナメイエビ、ブラックタイガーエビ、クマエビなど)からは共通して高い体液中のPO活性が認められた。他方、シャコ、ガザミなどの異なる分類群の食用甲殻類では、血球細胞を除いた体液中のPO活性はほぼ検出されなかった。 バナメイエビにおけるPO活性本体を精製し、詳細に解析したところ、バナメイエビ体液中のPO活性本体は、クルマエビPOβに類似した一次構造を持つタンパク質であることが明らかになった。また、遺伝子発現の傾向についても、クルマエビPOβと同様、肝膵臓での活発な転写が認められた。このタンパク質もN-末端にシグナルペプチドを有することから、バナメイエビPOβとした。以上の結果から、体液型PO (POβ) は、少なくともクルマエビ体液中においては広く存在し、PO活性の主因となっていると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
これまでに得られた知見を、広範な分類群を包含する食用甲殻類に広げ、生体防御の中心的な因子であるPOを通した種分化と分子進化的な視点からも知見が得られる可能性があるため。
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今後の研究の推進方策 |
体液型PO (POβ)について、その普遍性と生体防御への寄与を明らかにすることを目的に研究を進める。 生理的な意義については、生体試料の調達が容易なクルマエビを用いて行う。POβの普遍性については、甲殻類の系統進化においてクルマエビ科とは異なるグループの食用甲殻類の体液のPO活性を幅広く解析し、そのPO活性本体を単離する。
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