研究課題/領域番号 |
23K05401
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40040:水圏生命科学関連
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研究機関 | 帝京科学大学 |
研究代表者 |
山田 秀俊 帝京科学大学, 生命環境学部, 准教授 (70511955)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | DHA / RACK1 / サイトカインストーム / 炎症 / PKC / ドコサヘキサエン酸(DHA) / Rack1 / Protein kinase C |
研究開始時の研究の概要 |
「サイトカインストーム」はCOVID-19感染などをきっかけとした免疫/炎症の暴走であり、サイトカインストーム誘導にはT細胞、マクロファージ、B細胞の活性化が深く関わっている。本研究ではDHAのRack1相互作用を介したPKCシグナル抑制という新機軸から、DHAによる免疫細胞の異常な活性化抑制の効果と機序について探求し、サイトカインストーム予防や治療の新たな方法論創出を目指す。
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研究実績の概要 |
本課題では、docosahexaenoic acid (DHA)とReceptor of Activated C Kinase 1 (RACK1)の相互作用による免疫細胞の活性化シグナル抑制を軸として、DHAによるサイトカインストーム抑制作用について明らかにすることを目的に研究を進めている。RACK1は活性型Protein Kinase C (PKC)に結合し、PKCシグナルの増強に機能する分子として同定されたスキャフォールドプロテインであり、100以上のタンパク質と相互作用することが知られている。サイトカインストームはヘルパーT細胞を介した過剰な免疫反応であり、T細胞、B細胞、マクロファージ細胞が関わる反応である。そこで本研究では、RACK1との相互作用による機能抑制という視点から、DHAによるサイトカインストーム抑制について検討している。 これまでに、T細胞株およびマクロファージ細胞株を用いて、DHAによる免疫シグナル抑制作用について検討した。T細胞においてDHAは、PKCθおよびJNKのリン酸化レベルを低下させることを新たに見出した。PKCθはT細胞受容体を介したT細胞活性化の鍵となる分子であり、JNKはPKCによってリン酸化を受ける代表的な基質である。これらの結果は、DHAがRACK1とPKCθの相互作用を抑制することでT細胞活性化シグナル抑制に働くことを示唆している。さらにマクロファージ細胞においては、LPS刺激後の細胞接着がDHAによって抑制されることを新たに見出した。マクロファージ細胞における接着因子抑制は、炎症部位へのマクロファージ集積に対し抑制に働くことから、炎症反応においては抑制的に働くと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
T細胞株およびマクロファージ細胞株を対象として、RACK1の機能抑制という新たな視点でDHAの抗炎症作用について検討し、DHAがT細胞受容体によるT細胞活性化経路の抑制、T細胞におけるβカテニン蛋白質の抑制、マクロファージ細胞における細胞接着の抑制に働くという、新たなDHAの抗炎症作用機序を見出した。研究計画通りに、T細胞およびマクロファージ細胞における炎症抑制の機序について検討を進め、概ね順調にに研究を進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、マクロファージ細胞およびB細胞における、RACK1を介したDHAの炎症抑制作用について検討していく。マクロファージ細胞では、当初の予定通りにPKCβシグナル抑制について検討するとともに、新たに見出したDHAによる細胞接着能低下についても検討を進めていく。B細胞においてはPKCβシグナル抑制について検討を進めつつ、PKCシグナル以外にもRACK1の関わるシグナル経路や細胞現象について、DHAによる作用を検討していく。
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