研究課題/領域番号 |
23K05412
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41010:食料農業経済関連
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研究機関 | 宮城大学 |
研究代表者 |
川島 滋和 宮城大学, 食産業学群, 教授 (80404846)
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研究分担者 |
水木 麻人 東北大学, 農学研究科, 准教授 (20772502)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 規模の経済 / アドバンテージマトリクス / 全要素生産 / 営農類型別 / 農業発展 / 農業生産性 / 全要素生産性 |
研究開始時の研究の概要 |
日本農業を成長産業とするために,オランダのように付加価値の高い園芸作物に特化すれば良いという考えがある一方で,土地利用型農業の規模拡大が欠かせないとの見方もある。これらの議論は,資本集約型と土地集約型の異なる農業を峻別していないことに起因している。本研究における学術的な「問い」は,営農類型別に見たときに「規模の経済」は存在するか否かである。経営の規模を経営耕地面積のみならず,資本や雇用労働という実質的な生産要素も取り入れ,多面的な視点から農業生産性を再評価し,「規模の経済」という仮説に接近する。また、「規模の経済」以外の競争上の戦略の有無や農業発展の制約条件についてデータ分析を通じて探究する。
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研究実績の概要 |
初年度は、「農業経営統計調査」の『営農類型別経営統計』(個別経営、組織法人経営)及び『米生産費統計』(個別経営体、組織法人経営体)の個別結果表の申請を行い、12月にデータを入手することができた。 データ利用の申請と並行して、規模の経済性やTFP(Total Factor Productive:全要素生産)に関する研究レビューを行い、以下の点に留意すべきことが明らかになった。(1)生産関数の推計によるTFPの導出は、生産関数の関数型や推計の精度により、TFPの推計値が大きく異なる可能性があること。(2)同じ営農類型であっても、組み合わせている品目によって営農の実態が大きく異なること。(3)同じ「農業経営統計調査」でも調査対象となっている経営体が入れ替わっているために、パネルデータの作成は難しいこと。以上のことから、TFPの推計には、データが豊富な『米生産費統計』を用い、経営規模と生産性の関係を明らかにするアドバンテージマトリクス分析では、『営農類型別統計調査』を用いることにした。 水木他(2024)は、農林業センサスの統計分析から東北地方において10ha以上の露地野菜経営体が急速に増えている現状を示し、その生産性は全国平均と比べると低いことを明らかにした。また、タマネギ作を事例にした実態調査から、水田転換畑における単収の向上、ポストハーベストの調製作業の効率化が重要であることを指摘した。これらの結果は、経営規模の拡大とその生産性に与える効果を分析するためには、経営耕地面積のみならず調製業務に必要な機械設備、固定資本等を合わせて経営規模を定義する必要性を示唆するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「農業経営統計調査」の『営農類型別経営統計』と『米生産費統計』の申請に多くの時間と労力を割いたが、予定どおりデータを入手することができた。既存研究のレビューも一定程度進んだことから、上記の判断とした。
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今後の研究の推進方策 |
TFP(Total Factor Productive:全要素生産)の推計は、データ数の豊富なコメの『生産費統計』を使った分析することとし、特に環境保全型農業への取組とTFPの関係を明らかにする。アドバンテージマトリクスによる分析には、『営農類型別統計調査』を用い、機械設備や資本(固定資本)等のさまざまな視点から経営規模を定義し、研究課題である経営規模と生産性の関係についてアプローチしていく予定である。
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