研究課題/領域番号 |
23K05414
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41010:食料農業経済関連
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
倉田 正充 上智大学, 経済学部, 准教授 (30757050)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 遊休・荒廃農地 / 耕作放棄地 / リモートセンシング / 人工衛星 / 地理情報システム(GIS) |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、一般に公開された人工衛星データ(オープン衛星データ)を用いて全国規模の遊休・荒廃農地マップを作成し、農地の遊休・荒廃や再利用の要因分析を行うことで、農地の有効利用に向けた学術的・実務的貢献を果たすことを目的とする。最初の2年間は、農地の識別が困難な中山間地域の狭小農地が多い長野県のマップ作成に注力する。3年目は全国マップの作成とともに遊休・荒廃の要因分析を行い、4年目には完成したマップを用いて農地中間管理事業等の政策評価を行う予定である。
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研究実績の概要 |
初年度は主に、オープン衛星データを用いて遊休・荒廃農地を特定する標準的手法を確立するために、農林水産省が公開している「中山間地域等直接支払制度における衛星画像を用いた現地調査実施マニュアル」の手法の検証と改善を行った。同マニュアルは、中山間地域等直接支払制度における現地確認作業の効率化を図るべく、衛星データを用いて農地の利用状況を把握する手法を農林水産省が全国の市町村担当者を対象として作成・公開した資料であり、現時点での標準的手法として認識されている。 他方で同マニュアルでは、一部で有償データが利用されていたり、田畑の判定にSARデータのみが使用されているなど、予算面や技術面での改善の余地が認められる。よって初年度は、同マニュアルの作業プロセスをベースとしつつも無償のオープン衛星データのみを利用し、また田畑の判定には光学衛星データなども組み合わせた手法の検討を行った。具体的にどの改善策を採用するかは次年度にグラウンドトゥルース・データに基づいて検証していく予定である。 なお上記の検証作業の過程では、農林水産省が提供する農地の区画情報(筆ポリゴン)のデータの精度に部分的な問題が認められた。よって同データをそのまま利用するのではなく、オープン衛星データを用いた農地区画の抽出(セグメンテーション)の手法についても検討を加えた。 また最終的には市町村担当者だけでなく農業委員会など幅広いユーザーに改訂版マニュアルを公開することを目指すため、より簡便にGISソフトやGoogle Earth Engineを利用できるような改訂を試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初はオープン衛星データのみを利用した長野県の遊休・荒廃農地マップのベータ版を作成する予定であったが、上記マニュアルの検証と改善策の検討に加え、農林水産省が提供する農地の区画情報(筆ポリゴン)の精度の検証に想定以上の時間を要したため未達となっている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、前年度に検討したオープン衛星データによる遊休・荒廃農地の判定方法について、グラウンドトゥルース・データを用いた検証を行う。その際、特に課題となるのが中山間地域に分散する狭小な圃場の利用状況の把握である。 本研究ではそのような圃場が多く分布する代表的ケースとして長野県を対象とし、農地利用の実態を把握している農業委員会に協力を仰いで現地調査を行う予定である。これにより、遊休・荒廃農地の判定精度が高い衛星データの組合せや分析手法を特定し、この結果をワーキングペーパーとしてまとめる。またこの結果に基づき、前年度から準備しているマニュアルの作成を行う。 なお前年度の検証作業では、特に中山間地域において農林水産省が提供する農地の区画情報(筆ポリゴン)のデータのクオリティが低いことが観察されている。よって上記の現地調査を通じて、農地の区画情報の取得(セグメンテーション)についてもオープン衛星データでどこまで可能かを追加的に検証する予定である。 また上記マニュアルは市町村等の自治体担当者だけでなく農業委員会にも広く利用されることを目的とするため、同委員を対象としたインタビュー調査も実施し、農地パトロール等の現場での作業で利用しやすくなるような工夫を盛り込むことを目指す。
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