研究課題/領域番号 |
23K05416
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41010:食料農業経済関連
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研究機関 | 金沢学院大学 |
研究代表者 |
張江 洋次朗 金沢学院大学, 経済情報学部, 助教 (50882601)
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研究分担者 |
ゴータム ビスヌ・プラサド 金沢学院大学, 経済情報学部, 教授 (90615494)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | ジビエDX / 多様体学習 / 距離学習 / 持続可能性 / IoT / システム信頼性 |
研究開始時の研究の概要 |
シカ等の野生鳥獣による農業被害は年間160億円にも及び,観光資源被害や自然生態系への影響が深刻化している. 我々は生態調査のコスト削減,AI による最適な捕獲計画提示を通じて,ジビエ流通の最適化を図る「ジビエ DX」を提案する.ジビエDXを遂行するために,動物の個体識別技術の確立が急務であり,優れた距離学習手法を究明する必要がある.本研究は「野生動物ビッグデータ作成に向けたサンプリング」「誰もが利用・登録できるオープンデータベース」「捕獲最適化サービス」の3点について研究を進める.本研究成果により,地域資源の活用による地域活性化及び,不安定なジビエ肉供給の解消によるジビエ産業の発展が期待できる.
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研究実績の概要 |
本研究は(1)労力をかけないデータ収集(2)動物の個体識別技術の精度向上(3)行動予測などのAI技術の社会実装の3点に取り組み、野生鳥獣被害を抑制しジビエ肉流通を活性化させる「ジビエDX」システムの開発を行う。今年度は本研究目的(1)に関わる産業用カメラやRaspberryPi4を組み合わせた野外撮影用の画像収集デバイス開発に着手した。持続可能なデータ収集の実現に向け、太陽光パネルによる電力供給やネットワーク経由で動画像の送信受信ができることを屋内実験で確認した。
本研究目標(2)に関連する研究の調査研究として,以下の論文を刊行した。 [1] Harie Yojiro, Bishnu P. Gautam, and Katsumi Wasaki. "Computer vision techniques for growth prediction: A prisma-based systematic literature review." Applied Sciences 13.9 (2023): 5335. また,本研究と間接的に関係する業績として、持続可能な社会システムのアーキテクチャの提案を行った。開発したハンドジェスチャーによるドローンや石臼制御を例に、re-engineeringの観点から、伝統技術と最先端技術の融合をテーマとする以下の論文を刊行した。 [2] Bishnu P. Gautam, Harie Yojiro, "Reengineering Technologies for a Sustainable Solution: Ancient Stone Mills to Cutting-Edge Drones as an Example", Chubu University IGH Symposium on Sustainable Society FY2023.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究実績の概要に記載した研究内容のうち、ジビエDXの社会実装環境の構築と機械学習モデルの提案・実装に必要な研究を行っている。能登半島地震による実験環境や野外実験計画への影響もあったものの、先立って機械学習モデルの提案及び実装を行うことができており、概ね順調に研究遂行が達成されている。現在までの進捗状況は以下の通りである。 1) Raspberry Pi LoRAで作る低解像度サンプリング器は転送遅延の可能性を考慮し、RaspberryPi4に代替し作成した。これにより、システム全体の安定性と性能が向上した。さらに、赤外線カメラやLIDAR距離計を接続した野外実験に向けた準備も進めており、これにより実験の精度と信頼性が向上する見込みである。 2) 角や爪などの外的特徴だけでなく、ガン細胞や腫瘍なども含めて、機械学習モデルを用いた画像予測の応用可能性について文献調査を行った。この調査により、機械学習モデル、特にGANモデルにおける損失関数の定義の方向性が定まり、その結果を研究実績の概要[1]に報告した。 3) GANモデルに対して、Transferによる双方向自己回帰モデルの実装・実験を行った。この実験により、モデルの性能と適用範囲を評価し、今後の研究に向けた貴重なデータを得ることができた。令和6年度に予定されていた機械学習モデルの学習計算実験を先行して実施したため、野外実験を次年度に差し替えたが、研究遂行に及ぼす影響は軽微である。 4) 距離学習における曲率に着目した評価方法に関する有効な方法が得られた。この成果は、今後の研究における評価基準の一つとして活用される予定であり、より高度な解析と精度の向上が期待される。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として、以下を設定した。 まず、高ロバストな距離学習モデルシステムの構築にあたり、鹿の角をノイズとして画像生成を行う生成系AIの開発に着手している。この生成AIにより学習データセットを拡充し、その後に個体識別技術に対してメタモルフィックテスティングを実施する予定である。 次に、角の成長予測技術については、BERTに代表されるトークンマスク予測技術と、セグメント画像を用いた復元技術の複合による実現を構想しており、現在はプログラムを実装し評価・実験段階にある。この技術が完成すれば、より精度の高い個体識別が可能となり、研究の大きな進展が期待される。 さらに、本研究に間接的に関連する研究として、Python言語で記述されたAIプログラムのモデル検査用に、コードからKripke構造の自動生成器「CodoMoプロジェクト」を開発している。これにより、ジビエDXシステムを対象にモデル生成からモデル検査までのプロセスを自動化し、システム全体の信頼性と効率性を向上させる予定である。 社会実装に向けたフィールドワークとしては、北海道での実施を計画している。提案している個体識別技術は他の動物にも適用可能であり、様々な野生鳥獣の画像セット構築も視野に入れている。現在は対象を鹿に限定しているが、クマやサルなどの動物に対しても効率的な撮影が行えるよう設定を行う予定である。具体的には、転移学習を利用して鹿と推定された場合に動画の保存転送を行うシステムをいくつかの動物にも適用する計画を立てている。
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